こんにちは。選書サービス「Chapters bookstore(チャプターズ)」を展開している書店主の森本萌乃です。チャプターズでは、選書にあたって全ての作品に人が目を通します。毎月の3冊を選ぶために、多いと30冊ほどを実際に手に取って読むことも。
チャプターズの選書のコンセプト久しぶりに読書を楽しむ大人におすすめの小説・エッセイ
チャプターズのお客様の平均年齢は、29〜30歳。いちばん多いのは30代で、全体の47%です。
「毎日、同じことの繰り返し」
「休みの日、気づいたら終わってる」
そんなふうに感じる日、ありますよね。30代は仕事にも慣れて、生活もそれなりに回り始める時期。だからこそ、「このままずっと同じ毎日なのかな」と思ったりするものです。
お任せください。日々向き合うお客様が共通して感じる倦怠感だからこそ、私たちはこのジャンルの選書にちょっぴり自信があります🙋🙋♀️📚
本は、毎日を劇的に変えてくれるわけではありません。でも、同じ景色の見え方を、少しだけ変えてくれることはあります。
この記事では、毎日がつまらない、人生がつまらないと感じている30代の方に読んでほしい本を18冊選びました。つまらなさの種類を4つに分けているので、今の気持ちにいちばん近いところから覗いてみてください。
ご紹介するのは、全て読了した本だけ。
実際に読了して、お勧めしたいと心から感じた本だけを扱うのが私たちのモットーです。このブログも同じ方針で書いています。
ここに並ぶ本も、主にはチャプターズの過去の選書を中心にまとめています。読まずにおすすめすることはありません。選書が合いそうだなと感じたら、私たちの選書サービス・チャプターズも覗いてみてくださいね。
この記事を書いた人|森本萌乃
1990年生まれ。書店主・選書家、株式会社MISSION ROMANTIC代表。オンライン書店「チャプターズ」や、市ヶ谷の対話型選書「チャイと選書」を運営し、本をきっかけに人と人がつながる新しい読書体験を提案している。著書に小説『あすは起業日!』(小学館)。趣味は旅先での読書。
30代で「毎日がつまらない」「人生が楽しくない」と感じるのはなぜ?
20代の頃は、はじめての仕事、はじめての一人暮らし。放っておいても「はじめて」がやってきました。30代のつまらなさの正体は、ずばり「慣れ」です。自分で動かないと刺激がないのは、自分のせいではなく事実であって、仕方ないことなんです。
趣味がない30代に、「読書」という趣味をすすめたい理由
本屋の私がおすすめしたいのは、やっぱり読書です。理由は3つあります。
- 一人でも、休日でも始められる
カフェでも、寝る前のベッドでも。1冊あれば、休日に「出かける理由」ができます。 - 誰かの「好き」に出会える
山登り、落語、観劇、旅。この記事の本には、何かに夢中な人がたくさん登場します。自分が実際に動かなくても、いろんな人が代わりに動いて見せてくれる。そう考えるとコスパも抜群です笑。 - 人との会話のきっかけになる
「最近読んだ本」の話題は、案外盛り上がります。周りも話していないだけで、読んでいる人は結構いるんです。チャプターズにも、同じ本を読んだ人同士がビデオチャットで感想を話す20分の「アペロ」という機能があり、毎月400件以上、ほぼ毎日ひらかれています。それだけ本をきっかけにした話は盛り上がるということです💡
毎日がつまらない・人生がつまらない時に読むおすすめの本18選|つまらなさの種類別に
つまらなさの種類を4つに分けてみました。
こちらは本を分けたまでです。同じ人でも、週によって1の気分だったり4の気分だったりします。今の自分にいちばん近いものからどうぞ。
もしも合わなかったら、途中でやめて別の本へ。読書は、最後まで読めなくても大丈夫です。大切なのは、読み終えるよりも読み始めることです!
18冊の一覧
書名を押すと、その本の紹介に飛べます。横にスクロールできます。
| 書影 | 書名 | 著者/出版社 | ジャンル | 読みやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 1同じことの繰り返しの毎日に | ||||
![]() | 01今日もていねいに。 暮らしのなかの工夫と発見ノート松浦弥太郎/PHP文庫 エッセイ | 松浦弥太郎PHP文庫 | エッセイ | ★★★★★221ページ |
![]() | 02麦本三歩の好きなもの住野よる/幻冬舎文庫 連作短編 | 住野よる幻冬舎文庫 | 連作短編 | ★★★★★289ページ |
![]() | 03花屋さんが言うことには山本幸久/ポプラ文庫 連続短編 | 山本幸久ポプラ文庫 | 連続短編 | ★★★★☆365ページ |
![]() | 04それからはスープのことばかり考えて暮らした吉田篤弘/中公文庫 長編小説 | 吉田篤弘中公文庫 | 長編小説 | ★★★★☆288ページ |
| 2趣味がない、夢中になれるものがほしいとき | ||||
![]() | 05バッグをザックに持ち替えて唯川恵/光文社文庫 エッセイ | 唯川恵光文社文庫 | エッセイ | ★★★★☆219ページ |
![]() | 06しゃべれどもしゃべれども佐藤多佳子/新潮文庫 長編小説 | 佐藤多佳子新潮文庫 | 長編小説 | ★★★☆☆421ページ |
![]() | 07チョコレートコスモス恩田陸/角川文庫 長編小説 | 恩田陸角川文庫 | 長編小説 | ★★★☆☆562ページ |
![]() | 08コンサバター 大英博物館の天才修復士一色さゆり/幻冬舎文庫 アートミステリー | 一色さゆり幻冬舎文庫 | アートミステリー | ★★★☆☆335ページ |
| 3休日ひとりで、どこかへ出かけたいとき | ||||
![]() | 09おやすみ、東京吉田篤弘/ハルキ文庫 連続短編 | 吉田篤弘ハルキ文庫 | 連続短編 | ★★★★☆317ページ |
![]() | 10ドゥリトル先生のブックカフェ賀十つばさ/幻冬舎文庫 長編小説 | 賀十つばさ幻冬舎文庫 | 長編小説 | ★★★★☆236ページ |
![]() | 11海が見える家はらだみずき/小学館文庫 長編小説 | はらだみずき小学館文庫 | 長編小説 | ★★★★★341ページ |
![]() | 12逃北 つかれたときは北へ逃げます能町みね子/文春文庫 旅エッセイ | 能町みね子文春文庫 | 旅エッセイ | ★★★★★288ページ |
| 4「趣味は読書!」にするための没頭系作品 | ||||
![]() | 13リバース湊かなえ/講談社文庫 長編ミステリー | 湊かなえ講談社文庫 | 長編ミステリー | ★★★☆☆352ページ |
![]() | 14方舟夕木春央/講談社文庫 長編ミステリー | 夕木春央講談社文庫 | 長編ミステリー | ★★★★☆416ページ |
![]() | 15インドラネット桐野夏生/角川文庫 長編ミステリー | 桐野夏生角川文庫 | 長編ミステリー | ★★★★☆432ページ |
![]() | 16君のクイズ小川哲/朝日文庫 長編ミステリー | 小川哲朝日文庫 | 長編ミステリー | ★★★★☆245ページ |
![]() | 17イクサガミ 天今村翔吾/講談社文庫 時代小説 | 今村翔吾講談社文庫 | 時代小説 | ★★★☆☆336ページ |
![]() | 18流転の海 第一部宮本輝/新潮文庫 長編小説 | 宮本輝新潮文庫 | 長編小説 | ★☆☆☆☆448ページ |
それでは、それぞれの本の紹介へ行ってみましょう。
1|同じことの繰り返しの毎日に読む本 4冊
朝起きて、働いて、帰って寝る。平日はあっという間で、週末もいつも同じ。そんな毎日が続くと、何もかもが少し色あせて見えたりしますよね。
ここでは、変わりばえのしない毎日の中に、小さな発見や彩りを見つけさせてくれる本を集めました。短いお話の集まりも多いので、平日の夜にも読みやすいです。
1 繰り返しの毎日
今日もていねいに。 暮らしのなかの工夫と発見ノート

早起き、掃除、挨拶。暮らしの中の小さな工夫やマイルールを、約60の短いお話で綴ったエッセイです。著者が日々実践していることから出てくる言葉ばかりなので、するすると読めます。
この本をおすすめしたい理由
- 同じ毎日を、少しきらめかせたい時に
- 日常をきらめかせる秘訣は、ほんの些細な心がけひとつ。そう改めて教えてくれます。
- 1話が短く、どこから開いても大丈夫
- 寝る前に1話だけ、でも十分です。
おすすめポイント誰かに言ってもらいたかったことを、言ってもらえる。大人だからこそ胸にしみる、当たり前のお説教がとっても気持ちいい1冊です。怠惰で忙しない毎日を送る私には耳の痛いお話も多かったのですが、するする楽しく読み進められました。読み終えたら、どれかひとつだけ真似してみるのもいいかもしれません。
この本を読む(Amazon)1 繰り返しの毎日
麦本三歩の好きなもの

図書館で働く主人公・麦本三歩。少しドジで、考えすぎで、でも「好きなもの」にはまっすぐ。仕事の失敗、友人との距離、推しへのときめき。大きな事件は起きない日常の小さな出来事が、丁寧に積み重なっていく連作短編です。
この本をおすすめしたい理由
- 「好きなものがない」と思った時に
- 好きなものを大事にして、嫌なものを自分の世界に持ち込まない。三歩の境界線の引き方がとても上手なんです。
- 自分の機嫌の取り方が分かる
- 主人公の機嫌の取り方は天下一品。考えすぎる人ほど、気が楽になるかもしれません。
おすすめポイント主人公を愛せるかどうかで読後感が変わる、ちょっと曲者の1冊です(笑)。彼女の日常にクスッと笑えるか、イラっとするか。それ自体が、いまの自分の心のバロメーターになると感じました。もしイラっとしても全然大丈夫。私も最初はそうでした。ご機嫌に生きるって、こういうことかもしれません。
この本を読む(Amazon)1 繰り返しの毎日
花屋さんが言うことには

ブラック企業を退職した主人公が、ひょんなきっかけで働き始めた駅前のお花屋さん。日々訪れるお客さんのさまざまな依頼に、花を通じて応えていく連続短編小説です。季節の行事や花言葉のエピソードも散りばめられています。
この本をおすすめしたい理由
- 毎日に小さな彩りがほしい時に
- 誰かを祝う花も、少し切ない花も。花を通じて、いろんな人の日常がのぞけます。
- 1話完結で読みやすい
- 通勤中や休憩時間にも、サクサク読み進められます。
おすすめポイントお花屋さんは「誰かへの想いと共にやってくる特別な場所」なんだと、読みながらふと再認識しました。たとえ自分のためのお花でも、自分の機嫌を取りたいと想いを寄せる時間であることには変わりないですよね。読み終えたら、ぜひお花屋さんへ。いつもの帰り道に、寄り道がひとつ増えるかもしれません。
この本を読む(Amazon)1 繰り返しの毎日
それからはスープのことばかり考えて暮らした

路面電車の走る町に引っ越してきた青年と、町で出会うちょっと愛すべき人たち。いくつもの人生が少しずつとけあって生まれる「名前のないスープ」をめぐる、小さくてあたたかい物語です。
この本をおすすめしたい理由
- 同じ毎日が、少しおいしくなる
- 大きな事件は起きません。町の人とのささやかなやりとりが、スープの湯気のような温度で続いていきます。
- 読み終えたら台所に立ちたくなる
- 休日に、何か一品つくってみたくなるかもしれません。
おすすめポイントタイトルどおり、読んでいるあいだはスープのことばかり考えてしまう1冊。変わりばえのしない毎日も、ひと皿のスープがあれば少しだけ特別になる。そんなふうに思わせてくれます。同じ著者の『おやすみ、東京』と読み比べるのもおすすめです。
この本を読む(Amazon)2|趣味がない、夢中になれるものがほしいときに読む本 4冊
「趣味は?」と聞かれて、言葉に詰まる。好きなことが分からないと感じる時は、誰かが何かを好きになっていく姿を読んでみるのはどうでしょう。
ここでは、山登り、落語、舞台、そして美術。何かに夢中になっていく人の物語を集めました。
2 趣味がない
バッグをザックに持ち替えて

「もう二度と登らない」と決めていたはずが、愛犬の死をきっかけに再び山へ。浅間山、八ヶ岳、富士山、そしてエベレスト街道へ。恋愛小説の名手が、初心者から山登りにハマっていく過程を綴ったエッセイです。
この本をおすすめしたい理由
- 趣味を聞かれて、答えられない時に
- はじめてのザック選び、登山用品をそろえるワクワク。何かを好きになっていく過程そのものが楽しい1冊です。
- 何歳からでも始められる
- 何歳からでも、どんなことでもチャレンジできると、優しく教えてくれます。
おすすめポイント趣味や好きなことを、咄嗟に聞かれて答えられますか?案外難しいこの質問に、さらりと答えられるようになりたい方にぴったりです。著者の語りは自分の経験を押しつけないのに素直で、気づけば「私も歩き出してみたい」とうずうずしていました。読んでいるだけで、胸いっぱいに深呼吸したくなります。
この本を読む(Amazon)2 趣味がない
しゃべれどもしゃべれども

主人公は、古典を愛するあまり人気はいまひとつの若手落語家。ひょんなことから開くことになった落語教室には、落語にまるで興味のない生徒たちが集まり、それぞれの悩みやコンプレックスを主人公にぶつけてきます。
この本をおすすめしたい理由
- 興味はあるけど、始められない時に
- 落語と寄席の世界へ、すっと入っていける小説です。読み終えたら寄席に出かけたくなるはず。
- 新しいことへのハードルが下がる
- 心強さや元気をくれる登場人物たちが、新しいチャレンジの背中を押してくれます。
おすすめポイント興味はある、でもなかなか行く機会が見つからない。そんな方にぴったりの、落語の入門にもなる小説です。「まんじゅうこわい」など、落語の噺も盛りだくさん。「なぜ主人公が落語家なんだろう?」という疑問を抱えて読み進めた先で、落語の魅力や本質に触れられます。こちらの作品が気に入った方は、『甘夏とオリオン』という小説もおすすめ。同じく落語がテーマで、たくさんの噺が紹介されています。物語としても面白く、寄席に行きたい気持ちは2冊で最高潮まで高まるはず。
この本を読む(Amazon)2 趣味がない
チョコレートコスモス

圧倒的な演技力を秘めた少女が、舞台の世界へ飛び込みます。素人とベテラン、ビギナーズラックと実力。舞台のオーディションの裏側を描いた、一気読みの長編小説です。
この本をおすすめしたい理由
- 夢中になれるものがほしい時に
- 舞台に懸ける人たちの才能と苦悩が生み出すまぶしさに、何かに挑戦したい気持ちが芽生えます。
- 止まらない読書体験
- 500ページを超える長編ですが、舞台の空気と熱量に引っぱられて、ページをめくる手が止まりません。
おすすめポイント20〜30代に趣味を伺うと、思いのほか多いのが「観劇」。そんな観劇にハマるきっかけになりそうなのが本作です。オーディションのシーンは、動画のエピソードを次々進めるようにページをめくりました。なので、アイドルのオーディション番組やリアリティショーなど、動画コンテンツが好きな方にもおすすめです。
この本を読む(Amazon)2 趣味がない
コンサバター 大英博物館の天才修復士

世界最古で最大の博物館・大英博物館。そこで働く天才修復士ケント・スギモトのもとには、日々謎めいた美術品が持ち込まれます。すり替えられたパルテノン神殿の石板、動かない和時計、札束の詰まったミイラの木棺……。実在の美術品をめぐる謎を解いていくアートミステリーです。
この本をおすすめしたい理由
- 美術館が好きになる
- 実在の美術品をめぐる謎なので、読み終えたら本物を見に美術館へ行きたくなります。
- 謎がひとつずつ解ける
- 持ち込まれる美術品ごとに謎が解けていくので、少しずつ読み進められます。
おすすめポイント美術館めぐりは、30代からでも始めやすい趣味のひとつ。作品の背景を知っていると、同じ1枚の絵でも見え方が変わります。シリーズはルーヴル美術館やダ・ヴィンチへと舞台を広げながら続いているので、ハマったら長く楽しめます。アートミステリーで有名な作家さんといえば、原田マハさん。マハさんファンの方は、きっと一色さゆりさんにもハマるはず。ぜひ挑戦してもらいたいです。
この本を読む(Amazon)3|休日ひとりで、どこかへ出かけたいときに読む本 4冊
休日、気づいたら夕方になっている。一人の休日をどう過ごせばいいか分からない方へ。
ここでは、読み終えたらカフェに行きたくなる、夜の街を歩きたくなる、どこかへ出かけたくなる4冊を選びました。本を1冊持って、出かけてみてください。
3 休日ひとり
おやすみ、東京

東京、午前一時。映画会社で「調達屋」をしている主人公を中心に、職も暮らしもまったく違う人たちが、少しずつ重なっていく連続短編小説です。月に照らされた東京を舞台にした、12の物語が収められています。
この本をおすすめしたい理由
- 休日の夜、ひとりで読みたい
- 主人公それぞれの午前一時から始まる物語なので、夜に読むのがおすすめです。
- 夜の街を歩きたくなる
- 読み終えたら、冷えたコークハイのあるバーを探して、夜の街を散策したくなるはず。
おすすめポイント都会の喧騒の中で、人と人とがすれ違いながら少しずつつながっていく。とてもロマンチックな物語だと感じました。コークハイのほかにも、思わず唾液がじわっと出るような美味しい描写がたくさん登場します。いつもの街が、少し違って見えてくる1冊です。
この本を読む(Amazon)3 休日ひとり
ドゥリトル先生のブックカフェ

毎週金曜日、仕事と偽って出かける妻と、その小さな変化に気づいた夫。妻の行き先は、街の片隅にひっそり佇むカフェでした。おいしいコーヒーとスコーン、とっておきの絵本で、居場所を探す人たちをやさしく包む物語です。
この本をおすすめしたい理由
- 休日のカフェ時間に
- 読んでいるあいだ、自分の日常にもサードプレースができたような心地よさがあります。
- 安心して読めるのに、続きが気になる
- やさしいトーンなのに、読後の満足感はしっかり残ります。
おすすめポイント安心してページをめくれるのに、次の展開が待ち遠しい。この塩梅って案外難しいのですが、出会ってしまいました!週末のカフェ時間や、穏やかな昼下がりにぴったり。本好きさん、カフェ好きさんに、とっておきの読書時間を約束してくれる1冊です。
この本を読む(Amazon)3 休日ひとり
海が見える家

新卒で入った会社はブラック企業。1か月で辞めた主人公のもとに、疎遠だった父の訃報が届きます。向かったのは、南房総の海が見える高台に建つ、父の遺した古い家。都会では味わえなかった風の音と静けさの中で、主人公の価値観が少しずつ変わっていきます。
この本をおすすめしたい理由
- いつもと違う時間の流れにひたりたい時に
- 部屋を掃除し、海を眺め、人と助け合う。暮らしってこんなに自分の手で触れられるものだったんだ、と気づかせてくれます。
- ハマればシリーズで楽しめる
- 続編も出ているので、気に入ったら長く楽しめます。
おすすめポイント派手な展開こそないものの、仕事に疲れて忘れていた「自分の輪郭」を少しずつ取り戻していく実感が、心に残ります。著者は実際に農園を営む作家さんでもあり、田舎暮らしに魅せられていく主人公の心の変化がリアルだなと感じました。
この本を読む(Amazon)3 休日ひとり
逃北 つかれたときは北へ逃げます

心が疲れたとき、著者は北へ逃げます。北国の静けさ、寒さ、人とのほどよい距離感。日常からふっと離れる旅の記録です。
この本をおすすめしたい理由
- 1話ずつ独立した旅
- 「旅」をテーマにしたエッセイのなかでも、とても読みやすい1冊。どこから開いても大丈夫です。
- 過度に踏み込まない距離感
- 適度に自虐的で、それでいて優しい。北国の人たちとの距離が心地いいです。
おすすめポイントただの旅や旅行も、自分だけのルールができると楽しいですよね。旅先では必ず神社仏閣をめぐる、みたいな独自の旅スタイルがあると、定番の趣味にも自分らしさが出せそうです。そういった意味で、「今いる地点より北を目指す」という奇抜さが旅を楽しくしてくれそう。エッセイとしても、とっても面白いです。
この本を読む(Amazon)4|「趣味は読書!」にするための没頭系作品 6冊
「趣味は?」と聞かれて、胸を張って「読書です」と答えたい方へ。
ここでは、ページをめくる手が止まらない没頭系の6冊を選びました。ミステリーから時代小説、長いシリーズものまで。1冊読み終えたら、次の1冊を探したくなるはずです。
4 没頭系
リバース

主人公の深瀬和久は、平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れることです。近所のコーヒー店で出会った越智美穂子と付き合いはじめ、未来のことも考え始めた矢先、彼女のもとに「深瀬和久は人殺しだ」という告発文が届きます。
この本をおすすめしたい理由
- 最後まで分からない
- 誰が、なんのために。ぞくぞくする展開が続き、結末が読めない面白さがたまりません。
- 頭が冴え渡る
- 普段ミステリーをあまり読まない方も楽しめます。怖がりさんは気をつけて。
おすすめポイント幸せなカップルにある日突然訪れた不穏な足音。過去と未来が交錯し、冒頭から一気に面白いミステリーです。作中に何度も登場するのが、とろりと美味しそうなハチミツ。本作ではハチミツをコーヒーに混ぜて楽しむんです。コーヒーやカフェのシーンも多いので、日中の読書にも向いているかも。
この本を読む(Amazon)4 没頭系
方舟

友人と従兄と、山奥の地下建築を訪れた柊一。偶然出会った家族とともに、その地下建築「方舟」で一夜を過ごすことになります。翌朝、地震で出口がふさがれ、水が流れ込みはじめる。誰か一人を犠牲にすれば脱出できる——そんな中で、殺人が起こります。
この本をおすすめしたい理由
- タイムリミットつきで止まらない
- 水没までおよそ1週間。限られた時間の中で進む謎解きに、ページをめくる手が止まりません。
- 結末で、すべてがひっくり返る
- 最後の最後に待っている真相が、読み終えたあともしばらく頭から離れません。
おすすめポイントネタバレ厳禁の1冊なので、何も調べずに読み始めるのがおすすめです。読み終えたら、きっと誰かと話したくなるはず。ただ、人間の業というか、嫌な部分を炙り出すような中毒性のある面白さです。心の優しすぎる人にはしんどいと感じるかも。怖いもの見たさで開いてくださいね。同じ著者の『十戒』も文庫で出ているので、続けてどうぞ。
この本を読む(Amazon)4 没頭系
インドラネット

仕事が続かずゲーム漬けのダメ男が主人公。高校時代の憧れだった友人を追って、単身カンボジア・シェムリアップへと飛びます。待っていたのは、その友人たちきょうだいの凄絶な過去でした。
この本をおすすめしたい理由
- 初めての海外が人探し
- 所持金を盗まれたり、パスポートを無くしたり。数々のトラブルが主人公を強くしていきます。
- 一気読みが止まらない
- 安宿と長距離バスをめぐる等身大の旅に、ページをめくる手が止まりません。
おすすめポイントこの本、手に取ったのが夜23時過ぎ。そこから夢中で朝方までかけて読了してしまった、一気読みが止められないミステリーです。私も人におすすめしていただきました!タイトルはヒンドゥーの宇宙観「インドラの網」から来ているそうです。
この本を読む(Amazon)4 没頭系
君のクイズ

生放送のクイズ番組の決勝戦。対戦相手は、問題が一文字も読まれないうちに回答し、正解して優勝してしまいます。いったい彼はなぜ正答できたのか。その真相を探っていく、一気読みのミステリーです。
この本をおすすめしたい理由
- 夢中になれる1冊がほしい時に
- 犯人探しも複雑なトリックもなく、ひとつの問いだけを追いかけるのに、のめり込むように読めます。
- サクッと読める長さ
- 245ページ。忙しい方でも読み切りやすい長さです。
おすすめポイントいちばんミステリーっぽくないミステリー、ですがめちゃくちゃ面白い!ネタバレを避けて感想をまとめると、「変えられるのは未来と自分自身だけ」というシンプルなメッセージに収まります。私はクライマックスが特に好きで、読み終えて思わずニヤリとしたのを今でも覚えています。
この本を読む(Amazon)4 没頭系
イクサガミ 天

明治11年、京都の寺に集められた腕に覚えのある者たち。大金を懸けて、互いの木札を奪い合いながら東海道を東京まで進む「こどく」が始まります。12歳の少女を守りながら旅をする剣士・嵯峨愁二郎の前に、強敵が次々と現れます。
この本をおすすめしたい理由
- 明治×サバイバル
- 時代小説が初めてでも、生き残りをかけた勝負の連続で一気に読めます。
- 全4巻で長く楽しめる
- 天・地・人・神の4巻。続きが気になって、気づけば最後の巻まで手が伸びているはずです。
おすすめポイントNetflixで実写ドラマにもなった話題作です。全4巻で一見長いと感じますが、読みやすいのでご安心を。時代小説から読書にハマっていくのって、なんだかいい年の重ね方をしているようで、かっこいいですよね。ストーリーはイカゲームの江戸〜明治版!どんどん脱落者が出ていく様子が気になって、手が止められないです。「趣味は読書」の入口に、ぜひ時代小説を。
この本を読む(Amazon)4 没頭系
流転の海 第一部

戦後の大阪。破天荒で、自分勝手で、それでいて情に厚い松坂熊吾と、その息子をめぐる波乱万丈の日々を描いた、著者のライフワークとなった大河小説の第一部です。
この本をおすすめしたい理由
- 著者のライフワーク
- 全9部。37年をかけて書き継がれた大河小説です。
- 戦後の大阪を生きる家族
- 商売に生きる破天荒な父と、その息子。家族の浮き沈みを、長い時間をかけて見届けられます。
おすすめポイント読了しやすさは★1ですが、それは長さゆえ。1部読み終えるたびに「次へ」と手が伸びる、長く付き合える物語です。主人公の熊吾がTHE昭和の男!で、豪快でかっこいいんです。宮本輝ファンは読書好きの中でも多いので、会社で目上の方と接する機会が多い方などは、宮本輝作品から読書にハマっていくと、周りとの話もはずみそうです。「趣味は読書」と言えるようになりたい方の、腰を据えて読むシリーズに。
この本を読む(Amazon)もっと読みたくなったら、長く読み継がれてきた名作にも手を伸ばしてみてください。
毎日がつまらない時の、本の選び方
1話が短い本から始める
疲れている平日の夜は、長編を読む元気が出にくいものです。1話が短いエッセイや短編集なら、寝る前に1話だけ、でも十分楽しめます。この記事では『今日もていねいに。』『逃北』が短い話の集まりです。
休日は、本と「行き先」をセットにする
本を1冊持って、カフェや公園に出かけてみる。それだけで、家で過ごすだけの休日とは少し違う1日になります。『ドゥリトル先生のブックカフェ』はカフェで、『おやすみ、東京』は夜に読むのがおすすめです。
つまらなかったら、やめていい
毎日がつまらない時に、つまらない本を我慢して読む必要はありません。最初の数ページで気持ちが乗らなければ、そっと閉じて大丈夫です。積読も、どんどんしましょう!
本が届く毎月を、ちょっとした楽しみにしてみる
毎日がつまらない時って、本を選ぶこと自体がおっくうだったりしますよね。そんな時は、誰かに選んでもらうのも気楽です。
チャプターズは、毎月3冊の中から1冊を選ぶと、タイトルも著者も秘密のまま本が届く選書サービスです。届くまで何の本か分からないので、毎月ちょっとしたイベントが増えます。この記事の本の多くも、これまでの選書でお届けしてきたものです。
読み終えたら、同じ本を読んだ人と20分のビデオチャット「アペロ」で感想を話すこともできます。プロフィールに身長・職業・年収の欄はなく、好きな本3冊から会話が始まります。
チャプターズ以外の選書サービスは、こちらの記事で比較しています。
選書サービス・本のサブスクおすすめ9選【2026年版】|書店主が全部調べて比較
記事を読む
次の1冊、チャプターズに選ばせてください。毎月3冊の中から1冊。タイトルも著者も、届くまでのお楽しみです。読了後は、同じ本を読んだ人とビデオチャットで感想を話せる「アペロ」もあります。
3ヶ月プランなら1ヶ月あたり2,310円(税込)。
招待コード【5X9YA】で初月165円OFF。気分でない月はスキップもできます。
東京・市ヶ谷の実店舗「チャイと選書」
店頭ではパーソナル選書を行っています。20分前後お話を伺って、最大5冊をその場でご提案します。選書のあとは最大1時間、お店で過ごしていただけます。完全予約制です。
📍 東京都新宿区市谷田町2-20(JR市ヶ谷駅から徒歩7分)
パーソナル選書を予約するInstagram @chai_book_chapters
毎日がつまらない30代と本についてよくある質問
30代で毎日がつまらないと感じるのは、よくあることですか
珍しいことではないと思います。仕事にも慣れて、生活もそれなりに回り始める30代は、新しいことが起きにくい時期でもあります。つまらなさを感じるのは、毎日をもっと楽しみたい気持ちがあるからかもしれません。気持ちの落ち込みが長く続く時は、本よりも先に、医療機関や専門の相談窓口を頼ってください。
趣味がない30代でも、読書は趣味になりますか
なります。月に1冊でも、好きな作家や好きなジャンルが見つかれば、立派な趣味です。この記事の「「趣味は読書!」にするための没頭系作品」から始めると、ページをめくる楽しさを思い出しやすいかもしれません。
休日に一人で過ごす時におすすめの本はありますか
カフェや夜の散歩とセットで読むのがおすすめです。この記事の「休日ひとりで、どこかへ出かけたいときに読む本」で4冊をご紹介しています。
人生がつまらない時に読む本はありますか
夢中になれる本から始めると楽なことが多いです。『インドラネット』『君のクイズ』は、気づけば一気に読み終わっている1冊です。人生そのものに迷っている時は、クォーターライフクライシスのアラサーに読んでほしい本20選もどうぞ。
本を読むのが久しぶりでも大丈夫ですか
大丈夫です。1話が短いエッセイや短編集から始めると、読み終えやすいです。この記事では『今日もていねいに。』『逃北』が手に取りやすいです。読みやすい本・小説のおすすめ20選もあわせてどうぞ。
一人で楽しめる趣味として、読書はどうですか
一人でも、誰かとでも楽しめるのが読書のいいところです。読んだ本の感想を誰かと話してみたくなったら、読書会に参加してみるのもひとつの方法です。
趣味がきっかけで、人と出会うことはできますか
できます。チャプターズでは、同じ本を読んだ人と20分のビデオチャット「アペロ」で感想を話せます。趣味から始まる出会いの方法は、趣味で出会えるマッチングアプリおすすめ8選でも比べています。
趣味の見つけ方がわかりません
いきなり一生ものの趣味を探さなくて大丈夫です。誰かが何かに夢中になっていく本を読むと、自分も試してみたいことが見つかりやすくなります。この記事の「趣味がない、夢中になれるものがほしいときに読む本」では、山登り・落語・観劇・美術を入口にできる4冊をご紹介しています。
30代で読むべき本はありますか
年代ごとに読んでおきたい本は、一生に一度は読むべき本22選で、20代・30代・40代に分けてご紹介しています。この記事は、毎日がつまらない、趣味がないと感じている30代の方に向けて選びました。
おわりに|同じ毎日も、1冊で少し違って見える
30代の毎日は、慣れているぶん、変わりばえがしないように感じることもあります。でも、同じ帰り道も、同じ休日も、読んでいる本が変わるだけで少し違って見えるものです。
この記事の18冊は、どれも毎日を劇的に変える本ではありません。ほんの少しだけ、明日が楽しみになる。そんな1冊が見つかれば嬉しいです。
いつもの休日に、
1冊ぶんの寄り道を。
この記事が、次の1冊を手に取るきっかけになれたら嬉しいです。
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