エッセイおすすめ20選|エッセイとは?書店主が明るい・内省で選びました

オススメ本紹介

こんにちは。選書サービス「Chapters bookstore(チャプターズ)」を展開している書店主の森本萌乃です。チャプターズでは、選書にあたって全ての作品に人が目を通します。毎月の3冊を選ぶために、多いと30冊ほどを実際に手に取って読むことも。

チャプターズの選書のコンセプト久しぶりに読書を楽しむ大人におすすめの小説・エッセイ

これまで5年間で200冊以上を選書してきましたが、エッセイをお届けした月は、いつもと少し反応が違います。

小説のときは「面白かった」「泣きました」という、純粋な感想をいただくことが多いんです。ところがエッセイだと、こうなります。

「私も〇〇に行きました」「私も〇〇を始めたくなりました」

作品の感想ではなく、読んだ人自身の行動の話になっているんですよね。友達の話を聞いて自分も思わず影響されてしまう、あの距離感に近いなと思います。これが私の考える、エッセイの一番の面白さです。

この記事では、まずエッセイとは何かという答えのない問いを書店主なりにお答えしたうえで、2つのジャンルに分けて20冊ご紹介します。

チャプターズの約束

ご紹介するのは、全て読了した本だけ。

実際に読了して、お勧めしたいと心から感じた本だけを扱うのが私たちのモットーです。このブログも同じ方針で書いています。

ここに並ぶ20冊は、チャプターズの過去選書を中心にまとめています。読まずにおすすめすることはありません。選書が合いそうだなと感じたら、私たちの選書サービス・チャプターズも覗いてみてくださいね。

エッセイとは?書店主の答え

エッセイの定義、これ実はとても曖昧で、書店主の私にとっても大変な難題です。

いろいろ悩んだ末、いまのところ私は「書いた人の体験を借りて、耳を傾ける読み物」かなと思っています。

エッセイは、書き手が自分の体験や考えを自分の言葉で書いた散文のこと。語源はフランス語の「essai(試み)」で、16世紀のモンテーニュ『エセー』が始まりとされています。

定義としてはそうなのですが、店頭でお客様にお話しするときは、もう少し感覚的な言い方をしています。

エッセイは、友達が面白い話を聞かせてくれているようなものだと。思い出話だったり、体験談だったり、ときにはゴシップだったり。その人の体験から世の中を見せてもらう読み物です。

エッセイと随筆の違い

意味としては、ほとんど同じです。「随筆」は日本語、「エッセイ」は外来語、というのが実際のところ。

ただ、本屋の棚では使い分けの気配があります。随筆と言うと『枕草子』『徒然草』のような古典や、文豪の作品を指すことが多い。エッセイと言うと、いま生きている人が現代の言葉で書いたものを指すことが多いです。中身の違いというより、呼び方の年代の違いに近いかもしれません。

エッセイと小説の違い

いちばん大きいのは、書かれていることが実際にあったことかどうかです。小説はつくりごと、エッセイは書き手が本当に体験したこと。

とはいえ、エッセイにも「これ本当?」と思うような箇所はありますし、小説が驚くほど事実に即していることもあります。著者の実体験を赤裸々に語りながら小説にした「私小説」というジャンルもありますね。私小説は、自分の体験をもとにしていても小説として書かれたものなので、書店では小説の棚に並びます。

リアルかフィクションかは、面白い作品に出会うことを考えたときには、そこまで重要ではないと考えています。著者が自分の体験を語りかけてくれているな、と思ったら、それはエッセイ。私はそう思うことにしています。

友達との会話の中でも、気分が乗ってつい誇張表現をしてしまったり、逆に相手の話が眉唾ものでも面白かったら「へ〜」と流していったりしますよね。エッセイもそれくらいの距離で読んでいきましょう。

もうひとつ、読む側の姿勢も変わります。小説は物語の先を知りたくて読みますが、エッセイは、その人の感性を知りたくて読みます。人が語りかけてくれるから、エッセイは途中でやめても不思議と満足できるのかなと思っています。

エッセイとコラム・ノンフィクションの違い

ざっくり言うと、何を中心に置いているかが違います。

  • エッセイ…書き手の感じたことが中心。落としどころがなくてもいいし、全部が全部本当とも限らない
  • コラム…ある話題への意見が中心。短くて、主張がはっきりしている
  • ノンフィクション・ルポ…取材した事実が中心。書き手は基本的に後ろに下がる

もちろん、きれいに分かれないものもたくさんあります。この記事の20冊にも、旅のルポのようなエッセイや、詩に近いエッセイが混ざっています。その曖昧さも含めて、エッセイって広いな〜と思っておくと、ずいぶん気楽です。

エッセイ選びは、友達探し!著者との相性で全てが決まる

ここからが、この記事をつくった理由です。

小説は、物語が面白ければ書いた人を知らなくても最後まで読めます。でもエッセイは違うんです。書いた人と呼吸が合わなければ、読み進めるのが結構しんどいんです。

以前、小説好きのお客様が「エッセイって読んだことないんですよね。他人の日記ってあまり興味が湧かなくて」とおっしゃったことがありました。よく分かります。

でもそれは、きっとエッセイが嫌いなのではなくて、合う一冊にまだ出会っていないだけだったのだと思っています。エッセイ選びは、友達選びのようなもの。ジャンルよりも先に、いまの自分がどんな話を、誰から聞きたいかから決めるといいんじゃないかと思います。

この記事では、選び方をざっくり2つに分けました。

E

明るいエッセイ

声を出して笑えたり、口元がゆるんだり。読み終わると、ちょっと出かけたくなる。元気を分けてもらいたいときの10冊です。

Eの10冊を見る
I

内省のエッセイ

静かに、自分のほうへ降りていく。うまく言えなかった気持ちに、言葉をもらえる。ひとりの夜に開きたい10冊です。

Iの10冊を見る

どちらが良いということはありません。性格診断のMBTIの先頭、E(extravert)I(introvert)か。あれも自分のメンタルや環境で変化すると言われていますので、そんな感じで思っていてください。

今日の自分に近いほうから覗いてみてください。合わなかったら途中でやめて、別の一冊へ。EとI、行き来しましょう!

ページ数と、読了しやすさの★もつけました。読みやすいエッセイから試したいという方は、★の多いものからどうぞ。

20冊の一覧

書影書名著者/出版社ジャンル読みやすさ
E 明るいエッセイ(extravert)
『風と共にゆとりぬ』の書影01風と共にゆとりぬ朝井リョウ/文春文庫
エッセイ集
朝井リョウ文春文庫エッセイ集★★★★★352ページ
『拾われた男』の書影02拾われた男松尾諭/文春文庫
エッセイ集
松尾諭文春文庫エッセイ集★★★★333ページ
『ひとりずもう』の書影03ひとりずもうさくらももこ/集英社文庫
自伝エッセイ
さくらももこ集英社文庫自伝エッセイ★★★★★234ページ
『神さまたちの遊ぶ庭』の書影04神さまたちの遊ぶ庭宮下奈都/光文社文庫
エッセイ集(全12章)
宮下奈都光文社文庫エッセイ集(全12章)★★★★★325ページ
『わたしの旅に何をする。』の書影05わたしの旅に何をする。宮田珠己/幻冬舎文庫
旅エッセイ
宮田珠己幻冬舎文庫旅エッセイ★★★★258ページ
『グアテマラの弟』の書影06グアテマラの弟片桐はいり/幻冬舎文庫
旅エッセイ
片桐はいり幻冬舎文庫旅エッセイ★★★★★149ページ
『れもん、よむもん!』の書影07れもん、よむもん!はるな檸檬/新潮文庫
コミックエッセイ
はるな檸檬新潮文庫コミックエッセイ★★★★★140ページ
『うまれることば、しぬことば』の書影08うまれることば、しぬことば酒井順子/集英社文庫
エッセイ集
酒井順子集英社文庫エッセイ集★★★☆☆288ページ
『バッグをザックに持ち替えて』の書影09バッグをザックに持ち替えて唯川恵/光文社文庫
山エッセイ
唯川恵光文社文庫山エッセイ★★★★219ページ
『明日は、いずこの空の下』の書影10明日は、いずこの空の下上橋菜穂子/講談社文庫
旅エッセイ
上橋菜穂子講談社文庫旅エッセイ★★★★224ページ
I 内省のエッセイ(introvert)
『これが生活なのかしらん』の書影11これが生活なのかしらん小原晩/大和書房
エッセイ集(38編)
小原晩大和書房エッセイ集(38編)★★★☆☆192ページ
『東京百景』の書影12東京百景又吉直樹/角川文庫
エッセイ集(百編)
又吉直樹角川文庫エッセイ集(百編)★★★★304ページ
『逃北 つかれたときは北へ逃げます』の書影13逃北 つかれたときは北へ逃げます能町みね子/文春文庫
旅エッセイ
能町みね子文春文庫旅エッセイ★★★★★288ページ
『そんなとき隣に詩がいます』の書影14そんなとき隣に詩がいます谷川俊太郎/鴻上尚史/だいわ文庫
詩とエッセイ
谷川俊太郎/鴻上尚史だいわ文庫詩とエッセイ★★★★296ページ
『悲しみの秘義』の書影15悲しみの秘義若松英輔/文春文庫
エッセイ集
若松英輔文春文庫エッセイ集★★★★235ページ
『旅をする木』の書影16旅をする木星野道夫/文春文庫
エッセイ集
星野道夫文春文庫エッセイ集★★★★241ページ
『傷を愛せるか 増補新版』の書影17傷を愛せるか 増補新版宮地尚子/ちくま文庫
エッセイ集
宮地尚子ちくま文庫エッセイ集★★★★240ページ
『コンプレックス・プリズム』の書影18コンプレックス・プリズム最果タヒ/だいわ文庫
エッセイ集
最果タヒだいわ文庫エッセイ集★★☆☆☆208ページ
(独特の文体、ハマる人は一気に読めます)
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』の書影19表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬若林正恭/文春文庫
旅エッセイ
若林正恭文春文庫旅エッセイ★★★☆☆341ページ
『パリの砂漠、東京の蜃気楼』の書影20パリの砂漠、東京の蜃気楼金原ひとみ/集英社文庫
エッセイ集
金原ひとみ集英社文庫エッセイ集★★★☆☆216ページ

※「読みやすさ」の★は、チャプターズが実際に読了したうえでつけている独自の目安です。公的な指標ではありません。ページ数は文庫・単行本いずれかの実物にもとづく数字です。

それでは、それぞれの本の紹介へ行ってみましょう。

E|明るいエッセイ 10冊

読んでいるあいだ、口元がゆるむ。読み終わると、ちょっと出かけたくなる。元気を分けてもらいたいときの10冊です。

笑わせにくる本ばかりではありません。旅の話も、山の話も、言葉の話もあります。共通しているのは、読んだあとになんとなく見える世界が広がって、自分も何か新しいことをやってみたくなることかなと思っています。

E 明るい

01

風と共にゆとりぬ

朝井リョウ/文春文庫 352ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★★★

『風と共にゆとりぬ』朝井リョウ/文春文庫の書影。赤地に金色の装飾枠、中央に筆記体風のタイトル

Audible版あり

直木賞作家が、日常の出来事をひたすら可笑しく書いたエッセイ集です。帯には「めちゃくちゃ面白い」の一文。自分でハードルを上げておいて、それを軽々と超えてきます。

このタイプにおすすめの理由

名作かつ“迷作”
「本で笑う」をテーマに4冊を選んだ月の、いちばん笑った一冊でした。
どこから読んでもいい
全三部構成なので、目次で気になったところから始めて大丈夫です。

おすすめポイント言わずと知れた人気エッセイ!直木賞作家の日常はこんなにチャーミングで笑いの要素が詰まっているのかと、本当に爆笑しながら読みました。なので、笑いをこらえる必要のない場所で読むのがおすすめです。この本を読んだのが、確か27歳くらいの時。無意味な飲み会で消耗するよりも、本にとびきり面白い話を聞かせてもらえばいいんだ!と教えてくれて、自分の人生には本が必要だと気がつけた作品です。そんな気づきを得るような作品ではないのですが(笑)、とにかく面白いです。

この本を読む(Amazon)

E 明るい

02

拾われた男

松尾諭/文春文庫 333ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★★

『拾われた男』松尾諭/文春文庫の書影。商店街に立つ二人の人物と「ドラマ化!」の帯

Audible版あり

拾った航空券の持ち主が、たまたま芸能事務所の社長だった。そこから俳優になるまでを、本人が書いています。

フラれること十数回、借金は膨らみ、オーディションには落ちてばかり。それでも人との縁がつながっていって、やがて大役を射止めます。

このタイプにおすすめの理由

短い章が何十も
一つひとつは短いのに、読み進めると全体が一本の物語になっています。
話の面白い友達の口調
素朴な文体が癖になります。本当?嘘でしょ?なエピソードを繰り返しながら、話が面白いのでどんどん前のめりに進みます。

おすすめポイント隙間時間でちょこちょこ読もうと思っていたのに、面白くてそのまま一気読みしてしまいました。朗らかに生きているといいことがあるんだなあと、読み終えて素直に思えた一冊です。ちょっとした感動もありますが、爽やかに読了を迎えられる点も好きです。
ディズニープラスでドラマ化もされていましたね(『拾われた男 Lost Man Found』)。原作は今品薄みたいなので、Kindleで読むのがおすすめ。古本屋などで見かけたらラッキーです!

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E 明るい

03

ひとりずもう

さくらももこ/集英社文庫 234ページ 自伝エッセイ 読了しやすさ ★★★★★

『ひとりずもう』さくらももこ/集英社文庫の書影。水色地に、まわしをつけた赤ちゃんのイラスト

国民的アニメの作者による自伝エッセイ。アニメでは小学生時代が描かれますが、こちらは中学・高校から漫画家デビューまでの話です。

基本、ぐうたら。いちばん楽だからと興味のない物理部に入り、夏休みは誘われた海にすら行きません。

このタイプにおすすめの理由

平成の清少納言
日常の風景を、あっという間にユーモアで包んでしまいます。
ファン多き、さくらももこエッセイ
面白いエッセイを人に尋ねると必ず出てくる一冊。人生の名著にあげる方も多いです。

おすすめポイント何もしない日々を書いているだけなのに、おかしくって、ときどきほろりとしてしまいます。思春期特有の繊細さが蘇って「きゃ!」と共感性羞恥に襲われたかと思えば、大人になった今だからこそ可笑しくてたまらない場面も。年度末など、忙しい時期の一冊にも向いています。

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E 明るい

04

神さまたちの遊ぶ庭

宮下奈都/光文社文庫 325ページ エッセイ集(全12章) 読了しやすさ ★★★★★

『神さまたちの遊ぶ庭』宮下奈都/光文社文庫の書影。草花やきのこ、リスや鹿など森の生きものを描いたイラスト

北海道のど真ん中、十勝・大雪山国立公園のトムラウシ。スーパーまで37キロという場所で、宮下家の5人が1年間の期限つきで暮らした記録です。

章は3月から2月までの12か月。カレンダーを追うように読み進められます。

このタイプにおすすめの理由

氷点下13度で「あら、今日は少し暖かい」
その大地で、著者は日々あたらしい風景と気持ちに出会っていきます。
3人の子どもたちが逞しくなっていく
一つひとつのエピソードが可笑しくて愛おしくて、ここのファンも多いそうです。

おすすめポイント期限つきの田舎暮らしを「楽しい」だけで終わらせず、いろんな立場の人の気持ちに立ってみる。宮下さんの優しさが溢れています。そして、優しさ以上に面白い!3人のお子さんが個性豊かで、こんな子育て最高だろうなと、子育て中の方への贈り物にもいいかもしれません。多拠点生活が広がったいま、実際にこういう暮らしをしている人も増えているかもしれませんね。トムラウシ、行ってみたい!

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E 明るい

05

わたしの旅に何をする。

宮田珠己/幻冬舎文庫 258ページ 旅エッセイ 読了しやすさ ★★★★

『わたしの旅に何をする。』宮田珠己/幻冬舎文庫の書影。リュックを背負って本を読む青い服の人物のイラスト

たいした見通しもないまま「とにかく旅行しまくりたい」と会社を辞めた著者の、東南アジア旅行記です。

ヒマラヤ、ミャンマー、インド、ブルネイ。年に3回の大型連休をほぼ海外に費やし、有給をフル活用して9連休、10連休、11連休。

このタイプにおすすめの理由

1話5〜6ページ
隙間時間の読書にも向いています。
ハプニングの多さ
これだけ旅好きなのに、と笑ってしまう出来事の連続です。

おすすめポイント旅のエッセイなのに、読んでいて羨ましくなるのは絶景や豪華な食事ではなく、宮田さんの「とりあえず行ってみる」精神!地味な笑いが積み上がり、気づけばにやっとさせてくれます。少し遠くへ行くだけでも立派な旅といえるかも。そんな気分にさせてくれる、軽やかな一冊です。

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E 明るい

06

グアテマラの弟

片桐はいり/幻冬舎文庫 149ページ 旅エッセイ 読了しやすさ ★★★★★

『グアテマラの弟』片桐はいり/幻冬舎文庫の書影。中南米の織物のような色鮮やかな幾何学模様

疎遠だった破天荒な弟が、ある日突然グアテマラ人と結婚した。それならいっちょ行ってみるか、と出かけた半月の記録です。

現地では、13年ぶりに弟と再会します。

このタイプにおすすめの理由

旅と、家族の距離感
旅エッセイでありながら、兄弟の在り方も一緒に読めるのがこの本の魅力です。
149ページ、一行目からいい◎
この記事でいちばん薄い一冊です。「歯ブラシの替え時が分からない。」もう一行目から好きでした。

おすすめポイント日本にいると「グアテマラ=コーヒー」くらいしか浮かびませんが、そんな未知の国が少し身近に感じられるのも、エッセイの魅力。旅の疑似体験という意味ではピカイチですし、片桐はいりさんのシュールな笑いがツボでした。ちなみに著者いわく、コーヒーは日本のほうが美味しいそうです。そういうところもまた好きです(笑)。

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E 明るい

07

れもん、よむもん!

はるな檸檬/新潮文庫 140ページ コミックエッセイ 読了しやすさ ★★★★★

『れもん、よむもん!』はるな檸檬/新潮文庫の書影。黄色いレモンをかぶって本を読む少女のイラスト

本が大好きな少女の、小学校から高校までの読書遍歴をたどる自伝エッセイ漫画です。

国語の教科書をもらったその日に一気読みしていた小学校時代、図書館が居場所だった中学時代、憧れの友人から借りた本を夢中で読み漁った高校時代。

このタイプにおすすめの理由

星新一、椎名誠、吉本ばなな
この作家名にぴんとくる方は、共感が止まらないはずです。
140ページのコミック
ゆるかわいい作画で、ときどきクスッと笑いながらスイスイ読めます。

おすすめポイントチャプターズで漫画を扱ったのは、このときが初めてでした。一つひとつのエピソードが宝物のようにきらきらしていて、読書欲をまっすぐに掻き立ててくれます。さきほどの作家さんを読んだことがなくても大丈夫です。漫画も立派な読書ですし、コミックエッセイも掘れば掘るほどありますので、好きなジャンルになる方がいれば嬉しいです。

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E 明るい

08

うまれることば、しぬことば

酒井順子/集英社文庫 288ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★☆☆

『うまれることば、しぬことば』酒井順子/集英社文庫の書影。水色地に、シャボン玉のような丸の中へ文字を置いたデザイン

陰キャ、根暗、映え、OL。なぜその言葉は生まれ、どうして消えていったのか。何気なく使っている言葉の背景をたどるエッセイ集です。

「婚活」から始まった〇〇活ブーム。「陰キャ」と「根暗」の違い。“映え”は紫式部も使っていたそうです。

このタイプにおすすめの理由

一つひとつが短い
移動中や休憩時間にも向いています。ただ、面白くてなかなか止められません。
言葉を選ぶ息苦しさ
配慮ある言葉を選ばなくては、という現代ならではのプレッシャーも、ユーモアごとすくい上げてくれます。

おすすめポイント良質なウェブメディアのような、気軽さと“なるほど”が詰まった一冊。『「卒業」からの卒業』の回では、退職も退学も何でもかんでも「卒業」と言ってしまう風潮と、丸い言葉をつくりたがる日本人の癖について書かれていて面白かったです。普段ちょっとだけモヤモヤしていたことが言語化されて、すっきりする感じ。知的好奇心の側面から面白い一冊です。

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E 明るい

09

バッグをザックに持ち替えて

唯川恵/光文社文庫 219ページ 山エッセイ 読了しやすさ ★★★★

『バッグをザックに持ち替えて』唯川恵/光文社文庫の書影。緑の草地に置かれた登山靴とリュック、奥に山並み

恋愛小説の名手による、山のエッセイです。「登山なんて辛い。何が楽しいの?」から始まって、浅間山、八ヶ岳、富士山、ついにはエベレスト街道へ。

一度は「もう二度と登らない」と決めたのに、愛犬の死をきっかけに山へ戻り、還暦でエベレストに挑戦します。

このタイプにおすすめの理由

はじめてのザック選び
登山用品を揃えるわくわくから書かれているので、山を知らなくても入っていけます。
押しつけない語り
自分の経験を人に強いない、素直で誠実な文章です。

おすすめポイント自然の力や美しさの描写が壮大で、読んでいるだけで胸いっぱいに深呼吸したくなります。何歳からでも、どんなことでも始めていいのだと、静かに教えてくれる一冊。「趣味は何ですか」に咄嗟に答えられないな、という方にこそ読んでほしいです。

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E 明るい

10

明日は、いずこの空の下

上橋菜穂子/講談社文庫 224ページ 旅エッセイ 読了しやすさ ★★★★

『明日は、いずこの空の下』上橋菜穂子/講談社文庫の書影。塔のある建物と犬を描いた水彩画のような風景

『精霊の守り人』『鹿の王』の上橋菜穂子さんが、各地で見聞きし、食べ、出会ったことを綴る旅エッセイ。17歳の夏に訪れたイギリスから、研究のために滞在したオーストラリア、母と旅したイランまで、行き先も出来事も実にさまざまです。

しかもご本人いわく、旅は苦手。それでも20以上の国を訪ねています。

このタイプにおすすめの理由

実は英語が苦手で、“超”がつく方向音痴
それでも旺盛な好奇心にまかせて旅をする行動力に、読んでいて元気が出ます。
美しい景色を見せてくれる描写
寝袋で寒さに震えながら見た、日没とともに変わる風景の色や、満天の星空を感じさせてくれます。

おすすめポイント文章は優しく美しいのに、体験談は思った以上にワイルド!「そんなものを食べたの?」と驚いたり、旅先でのやりとりに笑ったり。ところどころに入る可愛い挿絵にも、ページをめくるたび嬉しくなります。

この本を読む(Amazon)

旅のエッセイをもっと読みたい方は、旅に持っていく本20選もあわせてどうぞ。

集合ポストの扉を開け、チャプターズのロゴが入った封筒を受け取る女性の手元

ここまでで10冊。気になる本はありましたか?

選ぶこと自体を人に任せてみる、という手もあります。選書サービス「Chapters bookstore(チャプターズ)」は、毎月3冊の中から1冊を選ぶと、ご自宅に文庫本が届く本のサブスクです。

タイトルも著者も、お手元に届くまで秘密。推薦文を手掛かりに直感で選びます。エッセイもたくさん選書でお迎えしております!

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I|内省のエッセイ 10冊

静かに、深く、自分の内面に向かって矢印を向ける10冊です。うまく言えなかった気持ちに、言葉をもらえるような読書になります。

暗い本を集めたわけではありません。内省は、読書がくれる大切な時間です。

I 内省

11

これが生活なのかしらん

小原晩/大和書房 192ページ エッセイ集(38編) 読了しやすさ ★★★☆☆

『これが生活なのかしらん』小原晩/大和書房の書影。緑の帽子をかぶった人物の絵と、穂村弘さんの推薦文

Audible版あり

自費出版として異例の売れ行きを記録した一冊。ままならない生活をめぐる38編のエッセイです。

ひとり暮らしから、二人暮らし、三人暮らし、実家暮らし。形を変えていく暮らしのなかの、小さな幸せと些細なざらつきが書かれています。

このタイプにおすすめの理由

斜め上の観察眼
20代の作家の独特の語り口が、羨ましくて、眩しいです。
エッセイのジャンルに収まらない
短歌のようで、詩集のようで、ラップのようで。クセになる筆致です。

おすすめポイント面白いと言う人はたくさんいるのに、お気に入りの箇所がみんな違うのが、この本の不思議なところです。チャプターズのスタッフ同士でも「友人の名前をフルーツにしてぼかす表現が好き」「“しゃくしゃく”“ぽわんぽわん”のリズムがクセになる」と、まったく違うところを挙げていました。読後、誰かと共有するよりも自分を抱きしめたくなるような読後感なのでこちらに分類しましたが、楽しく明るいエッセイとも言えます。

この本を読む(Amazon)

I 内省

12

東京百景

又吉直樹/角川文庫 304ページ エッセイ集(百編) 読了しやすさ ★★★★

『東京百景』又吉直樹/角川文庫の書影。横顔の女性のモノクロ写真

18歳で上京し、自分の拙さを思い知らされながらもがき続けた日々を、100の風景として書いたエッセイ集です。

著者いわく「ドブの底を這うような」青春の記憶。傷つき、苦しみ、後悔しつつも、振り返ればかけがえのない毎日だったと思い知ります。

このタイプにおすすめの理由

100編の風景
一つひとつが短く、どこから開いても読めます。
ネガティブを笑いに
独特の視点で、つらい出来事が可笑しさに変わっていきます。

おすすめポイント上京者はきっと共感の嵐。東京への憧れと、ここでやっていけるのかという不安。東京のいろんな場所の名前がそのまま章になっているので、行ったことのある場所から読んでみても、次の週末に行く場所を決めるために読んでみても楽しめるかと思います。

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I 内省

13

逃北 つかれたときは北へ逃げます

能町みね子/文春文庫 288ページ 旅エッセイ 読了しやすさ ★★★★★

『逃北 つかれたときは北へ逃げます』能町みね子/文春文庫の書影。曇り空の海辺に立つ、赤いコートの人物のイラスト

心が疲れたとき、著者は北へ逃げます。北国の静けさ、寒さ、人とのほどよい距離感。日常からふっと離れる旅の記録です。

寒い季節だからこそ、あえてもっと寒い場所へ。

このタイプにおすすめの理由

過度に踏み込まない距離感
適度に自虐的で、それでいて優しい。北国の人たちとの距離が心地いいです。
日本酒が似合います
人の少ない小料理屋のカウンターで、熱燗を一杯やりながら読みたくなります。

おすすめポイント寒さを全肯定してくれるおかげで、冬が苦手だった私も少し意識が変わりました。タイトルがとにかく秀逸で、いつか流行語大賞に入ってほしいくらい完璧な日本語だと思っています。なんでもない平日の夜、頑張れない週末の空白を、少しだけ埋めてくれる一冊です。ユーモアたっぷりの楽しくて明るいエッセイとも言えますが、北国の哀愁が元気のない時に寄り添ってくれる気がして、こちらに分類しました。

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I 内省

14

そんなとき隣に詩がいます

谷川俊太郎/鴻上尚史/だいわ文庫 296ページ 詩とエッセイ 読了しやすさ ★★★★

『そんなとき隣に詩がいます』谷川俊太郎・鴻上尚史/だいわ文庫の書影。水色地に白い明朝体のタイトル

さみしくてたまらなくなったら、家族に疲れたら、愛されなかったら、生きるパワーが欲しくなったら。心の症状ごとに詩が処方される、一問一答形式のエッセイ集です。

鴻上尚史さんが谷川俊太郎さんの詩を選び、短い解説を添えています。

このタイプにおすすめの理由

読了しなくて大丈夫
ページを行ったり来たり、眺めるだけでも驚くほどいい時間になります。
たった一行のお守り
その一行が、忘れていた感情に灯をともすことがあります。

おすすめポイント詩というと、高尚なもの、国語の授業のもの、という先入観を持つ方もいるかもしれません。でも今触れると、こんなに楽しくて、こんなに身近です。電車の中でも待ち合わせの合間でも、少しだけ自分の時間を作ってページをめくってみてください。詩をプロが選んで解説してくれるので、入門書的にも楽しめますし、悩み事相談としても優秀な本です。

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I 内省

15

悲しみの秘義

若松英輔/文春文庫 235ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★★

『悲しみの秘義』若松英輔/文春文庫の書影。色とりどりの布や編み物をつなぎ合わせたパッチワーク

Audible版あり

大切な人を失ったとき。どうしても拭えない喪失感に襲われたとき。悲しみは、乗り越えるべきものなのでしょうか。

著者自身の喪失体験を出発点に、文学や思想の言葉をたどりながら、悲しみを消すのではなく“深める”という姿勢を静かに示していく一冊です。

このタイプにおすすめの理由

答えを急ぎません
思想家や詩人の言葉を並べるだけ。解釈は読み手に委ねられます。
通り過ぎる章があっていい
刺さる章もあれば、そうでない章もある。そのプロセス自体が、静かなセラピーのようでした。

おすすめポイント書店主という仕事柄、「人生を変えた本は?」とよく聞かれます。でも本一冊で人生が劇的に変わることは、実はそう多くありません。読書の積み重ねが人生を少しずつ分厚くして、ある日ふと、稀に、人生を変える言葉に出会う。私はその瞬間が大好きで、本が好きになった部分も大きいです。この本は、その積み重ねのほうに置いておきたい一冊でした。新しい言葉や人物にたくさん出会わせてくれて、人生の先に伏線を引いたような気持ちです。

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I 内省

16

旅をする木

星野道夫/文春文庫 241ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★★

『旅をする木』星野道夫/文春文庫の書影。雪山を背にカメラを構える著者の写真

写真家がアラスカの自然に惚れ込み、現地に住みながら見て、聞いて、感じた日々を綴ったエッセイ集です。

ひとつひとつの短い話に、大自然の美しさが凝縮されています。ページをめくるたびに、風と水と野生動物の気配があります。

このタイプにおすすめの理由

否定がありません
自然と都会を対極とせず、どちらも尊重してくれます。
教えるのではなく、見せてくれる
たった一度の人生との向き合い方を、押しつけずに置いていってくれます。

おすすめポイント人生の名著に挙げる方も多い一冊。著者の目線から自然に触れていると、「価値観」という実体のない言葉の姿かたちが、少しずつ見えてくる感覚があります。アラスカに住む遠い友人から、お手紙をいただくようなありがたい読書時間になります。章をめくるごとに、抱きしめたくなる本でした。

この本を読む(Amazon)

I 内省

17

傷を愛せるか 増補新版

宮地尚子/ちくま文庫 240ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★★

『傷を愛せるか 増補新版』宮地尚子/ちくま文庫の書影。波打ち際の砂と白い水の写真

精神科の医師であり、トラウマ研究の第一人者でもある著者が、ボストン、沖縄、ブエノスアイレス、バリ、金沢と旅をしながら「心の傷」について考えを深めていくエッセイ集です。

水の中にもぐるように、ゆっくり進みます。

このタイプにおすすめの理由

弱いまま、強くあるということ
傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。
詩のような文章
読んでいるだけで心が落ち着きます。

おすすめポイントつらいことは、ないほうがいいでしょうか。起きてしまったときは、なるべく早く忘れて、なかったかのようにふるまうのがいいのでしょうか。そうではなく、傷をそっとなぞり、見つめ、ともにその後を生きていく。それもひとつの生き方かもしれません。敬愛する蟹ブックスの書店主・花田菜々子さんに選書をお願いした際、選んでいただいた作品です。口コミで広まり重版もされているので、ブームの火付け役は花田さんなんじゃないかと密かに思っています。

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コンプレックス・プリズム

最果タヒ/だいわ文庫 208ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★☆☆☆(独特の文体、ハマる人は一気に読めます)

『コンプレックス・プリズム』最果タヒ/だいわ文庫の書影。水色地に、線で描かれた人物たちのイラスト

若いころに感じていたり、今でもずっと色濃く残っていたりする劣等感。詩の新しいムーブメントを起こした現代詩人が、「コンプレックス」をテーマに書いたエッセイ集です。

このタイプにおすすめの理由

毒と棘と愛
このくらいの話し相手が本の中にいることは、かえって救いになることがあります。
言葉の雨
羅列が雨のように見えるのは、縦書きで読む日本語ならではかもしれません。

おすすめポイント先にお伝えしておくと、少し暗いです。なんせ「劣等感」がテーマですから。でも、ネガティブなのかポジティブなのか、共感なのか嫌悪なのかも判断できない速度で突き刺してくる言葉の連なりに、気づくとページをめくる手が止まりません。自分の柔らかい部分と、うんと向き合いたいときに。日本語ラップが好きな方、言葉に刺さりに行きたい方にもおすすめです。

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表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

若林正恭/文春文庫 341ページ 旅エッセイ 読了しやすさ ★★★☆☆

『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』若林正恭/文春文庫の書影。日陰に寝そべる野良犬の写真

芸人として多忙な著者が、5日間の夏休みでキューバへ向かう旅のエッセイです。

クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海。読み進めるうちに、隠されていた旅の目的が見えてきます。

このタイプにおすすめの理由

ただの旅行記ではありません
きっかけは、競争し続けないと「負け組」になってしまう社会での生きづらさでした。
テレビの彼とは別の顔
私たちがテレビで見る“彼”と、言葉から見える“彼”には、違う面白さがあります。

おすすめポイントエッセイの醍醐味は、その人の目線から世の中を見られることだと思っています。大きな成功をした人の頭の中を、覗いてみたくなりませんか。笑えるのに、読み終わると自分の働き方のほうを考えてしまいます。芸人さんの旅エッセイなのでもちろん明るい側もたくさんあるのですが、あえてこちら側に分類。しっかり内省にも効く一冊です。

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パリの砂漠、東京の蜃気楼

金原ひとみ/集英社文庫 216ページ エッセイ集 読了しやすさ ★★★☆☆

『パリの砂漠、東京の蜃気楼』金原ひとみ/集英社文庫の書影。赤地に、頬杖をつく著者のモノクロ写真

1歳と4歳の娘と始めたパリでの母子生活。近づく死の影から逃れるための突然の帰国。夫との断絶のなか、仕事に追われる東京の日々。

6年間のパリ生活に終止符を打って帰国した作家が、その前後2年で感じた孤独と苦悩を綴ったエッセイです。

このタイプにおすすめの理由

パリ編と東京編
華やかなパリを想像していると、冒頭から裏切られます。全体に暗く、アンニュイなトーンで進みます。
脆さを隠さない
ここまで脆い感情を包み隠さず見せてくれるエッセイは、珍しいです。

おすすめポイント私は偶然、少し元気のない時期に手に取りました。終盤、気がつくと本を抱きしめていて、大切に読み終えたあとは、あらゆる友人に買ってプレゼントしました。ただ友人からは「ちょっと読みづらい」「暗いかも」という感想も返ってきたので、好き嫌いは分かれると思います。それでも、自分を愛せない日々にそっと寄り添えたらと思い紹介します。こんなに正直に書いてくれて、金原ひとみさんって素直で純粋で性格いいんだろうな〜と勝手に思いました。
もしも私の人生のベストブックスを人に尋ねられたら、必ず挙げるであろう一冊です。

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眠れない夜には、内省系のエッセイが効きます。

寝る前に読む本を書店主がおすすめ|読んで選んだ眠くなる小説・エッセイ12選 記事を読む

エッセイをもっと読みたくなった方へ。チャプターズは、エッセイも得意分野です。この記事の20冊も、ほとんどが過去にお届けしたものたち。毎月の3冊にも、エッセイはよく混ざっています。

カフェのテーブルで、チャプターズのオリジナルカバーに包まれた文庫本を手渡す二人の手元 チャプターズ|久しぶりの読書を楽しむ大人のための選書サービス 今月の3冊を見てみる

エッセイの選び方|書店主のやり方

「誰が書いたか」を見る

小説はあらすじから選んでいいのですが、エッセイはまず書いた人を見ます。興味のあるジャンルの学者さん、好きな俳優さん、よく聴くラジオのパーソナリティ。誰でも大丈夫です。

その人の書くものなら、内容が自分の興味から少し外れていても、最後まで読めてしまうんです。エッセイは友達探し。悩んだときは、人で選ぶと楽しいですよ。

目次を開いて、気になる1編だけ読む

エッセイは、頭から順番に読まなくて大丈夫です。目次を眺めて、タイトルが面白そうな1編だけ読んでみてください。

そこで気持ちが乗れば、その本は合っています。乗らなければ、その人とは今回ご縁がなかっただけ。1編読んで判断できるのは、エッセイの大きな利点です。

合わなければ、途中でやめる

これは小説のときにもお伝えしていることですが、エッセイではもっと気楽にやっていいと思っています。

私はいつも100ページで判断するというのがマイルールですが、エッセイでも同じ。合わない声を我慢して聞き続けるのは、しんどいですから。次の一冊へどうぞ。

どうしても文字を追う気力が出ない日もありますよね。そんなときは、耳で聴くという手も。この記事の20冊のうち4冊にはAudible版があります。移動中や家事をしながらでも、物語のほうは進んでいてくれます。
この記事の20冊には、ページ数と「読了しやすさ」の★をつけています。今日はどうも集中できないな、という日は、★が多くてページ数の少ない、読みやすいエッセイから始めてみてください。面白い小説のおすすめ20選のほうにも同じ目安をつけていますので、小説の気分の日はそちらもどうぞ。

有名人・芸能人のエッセイは、文庫化されたものが面白い

これ、私の持論です。文庫化は、出版社が厳選した作品にしか起こりません。文庫になっている時点で、面白さのお墨付きだと思っています。

普段テレビで見かける芸能人や芸人さんのエッセイは、「え!あの人こんなに面白いの?」とか「あんなに成功しているのにこんなに暗いの?」とか、全然違った一面を見せてくれます。

あと、忙しいのに文字を書こう、書きたい、という意思と行動が、もうそれだけで素敵だなと勝手に思ってしまいます。

なので、著名人のエッセイはもれなくおすすめ。今回は片桐はいりさんや松尾諭さん、若林正恭さんをご紹介しましたが、星野源さんの『よみがえる変態』、石田ゆり子さんの『旅と小鳥と金木犀』、上白石萌音さんの『いろいろ』、Aマッソ・加納愛子さんの『イルカも泳ぐわい。』など、有名な方は文章も一流です!

エッセイの選び方|選書サービスを使ってみる

好きな書き手が見つかると、今度はその人の本を追いかけていくことになります。楽しい時期です。

エッセイにハマり、また新しい本との出会いが欲しいなあと感じた時には、選書サービスの出番です。

この記事で紹介した20冊も、チャプターズで過去に選書したものを中心にご紹介しました。ここに並ぶ本の空気が好きだなと感じたら、チャプターズが合っているかもしれません。

チャプターズ以外にも選書サービスはたくさんあります。以下の記事で詳しく比較していますので、ご興味あれば合わせてご覧ください。

選書サービス・本のサブスクおすすめ9選【2026年版】書店主が全部調べて比較 選書サービス・本のサブスクおすすめ9選【2026年版】|書店主が全部調べて比較 記事を読む

よくあるご質問

エッセイと随筆の違いはなんですか

意味としてはほとんど同じで大丈夫です。「随筆」が日本語、「エッセイ」が外来語、という違いがいちばん大きいところ。ただ本屋の棚では、随筆というと『枕草子』『徒然草』のような古典や文豪の作品を、エッセイというと現代の書き手の作品を指すことが多いです。中身というより、呼び方の年代の違いに近いかなと思っています。

エッセイと小説の違いはなんですか

いちばん大きいのは、書かれていることが実際にあったことかどうかです。小説はつくりごと、エッセイは書き手が本当に体験したこと。読む側の姿勢も変わります。小説は物語の先を知りたくて読みますが、エッセイはその人の感性を知りたくて読むんです。人が語りかけてくれるので、途中でやめても不思議と満足できたりします。なお「私小説」は自分の体験をもとにしていても小説として書かれたものなので、小説の棚に並びます。

エッセイは最初から順番に読まないとだめですか

どこから開いても大丈夫です。目次を見て、タイトルが気になった1編から読んでみてください。この記事でいうと『東京百景』『そんなとき隣に詩がいます』『風と共にゆとりぬ』あたりは、特にそういう読み方が向いています。読了を目指さなくてもいいのが、エッセイのいいところです。

読書が久しぶりでもエッセイなら読めますか

読み切れることが多いです。1編が数ページで区切られている本が多いので、途中で閉じても話が分からなくなりません。この記事の本にはページ数を書いていますので、まずは200ページ前後の薄いものからどうぞ。『グアテマラの弟』は149ページ、『れもん、よむもん!』は140ページのコミックエッセイです。

有名人のエッセイと作家のエッセイ、どちらから読むといいですか

知っている人のほうから読むと、入りやすいことが多いです。テレビやラジオで声を知っている方だと、文章もその声で再生されるので、最初の数ページの負担がぐっと減ります。文章そのものの面白さを味わいたくなったら、そのあとで作家さんのエッセイに進むと、言葉選びの違いがよく分かって楽しいです。

エッセイが合わないと感じたらどうすればいいですか

その本とご縁がなかっただけなので、次の一冊に移って大丈夫です。エッセイは書き手と呼吸が合うかどうかがすべてなので、合わない本を我慢して読むのは、けっこうしんどいんです。以前「エッセイって読んだことないんですよね」とおっしゃったお客様がいましたが、エッセイが嫌いなのではなく、合う一冊にまだ出会っていないだけということも多いなと感じています。

あなたの次の1冊、チャプターズに選ばせてください。毎月3冊の中から1冊。タイトルも著者も、届くまでのお楽しみです。読了後は読書の感想もシェアできる機能があります。

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おわりに

エッセイは、小説にくらべて「はずれ」を引きやすい読み物です。書いた人と呼吸が合わなければ、どんな名作でも10ページでしんどくなります。

でも裏を返せば、合う一冊に当たったときの嬉しさは、小説よりずっと個人的なものだったりします。作品を好きになるのではなく、その人を好きになる感じ。冒頭でお客様が「この人のこと、好きになっちゃいました」とおっしゃったのは、たぶんそういうことだったのだと思います。

今のあなたと呼吸の合う一冊が、
この20冊のどこかにありますように。

この記事が、次の1冊を決めるきっかけになれたら嬉しいです。

※ ページ数と「読了しやすさ★」はチャプターズ独自のデータです。★はチャプターズ書店員の評価によるもので、公的な指標ではありません。
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