ヨーロッパへの旅を計画中の皆様📣
現地の時間をより楽しめるような、旅のお供にぴったりくる小説やエッセイを探していませんか?
意外と移動時間や待ち時間の多い旅。読書は旅をさらに豊かにし、異国の地での時間をより一層楽しむための最高の方法です。
今回は、ロンドンでの生活経験もあり、以来10年以上、毎年必ずヨーロッパを訪れる生粋の旅好き・ヨーロッパ好きの書店主が、独断と経験則のみで、ヨーロッパ各国でぜひ持って行ってほしい10冊のおすすめ作品を紹介します。
読みやすさと面白さを重視しながら、珍しい作品も多いです。ぜひご参考になれば嬉しいです💡
紹介する人
オンライン書店を運営する小さな会社の代表。小説・エッセイをメインに月数十冊に目を通す。愛読書は『アルケミスト』と『その手を握りたい』。旅先での読書が人生のご褒美。
ご紹介する10冊はこんな人におすすめ💡
・ヨーロッパ方面に旅行の計画がある方✈️🌍
・旅行に出かけられないので、読書で旅行気分を味わいたい方📖
・海外文学や往年の名作ではなく、どちらかというと最近の作品に出会いたい方
尚こちらの記事は、以下動画でも視聴いただくことができます。
動画・ブログ、お好きなスタイルで本の紹介をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
🇮🇹イタリアに持っていきたい作品
皿の中に、イタリア / 内田洋子 著(講談社文庫)
イタリア在住の著者が綴る日々の生活と美味しい食事についてのエッセイ。
内田さんはイタリアの文化や人々、風景を詳細に描写しており、読者はまるで自分がその場にいるかのような感覚を味わえます。この本を通じて、イタリアの豊かな食文化や魅力的な日常生活を深く知ることができます。
特に、カラブリアというイタリアの聞き慣れない地域の魚屋さんたちとの交流は、冒頭から思わず興味をそそります。
旅先での食事が一層楽しみになる一冊であり、イタリア旅行の際にはぜひ持って行きたい作品。
また、内田さんの文章は温かみがあり、読み進めるうちにイタリアという国に対する愛情が伝わってきます。旅行中の空き時間に読むことで、現地での体験がさらに豊かになるでしょう。
🇹🇷トルコに持っていきたい作品
村田エフェンディ滞土録 / 梨木香歩 著(角川文庫)
トルコでの留学生活と国際的なルームシェアの経験を描いた小説。
物語の設定は明治時代。
100年前も今も、異文化交流の面白さや難しさは不変的であることを教えてくれる本書は、トルコという国の魅力とともに、異なる文化の中で生きることの意味を考えさせられます。
主人公の村田君がトルコに留学し、さまざまな国の学生たちと共同生活を送りながら、彼らとの交流を通じて成長していく様子は、雪合戦をしたり、シェアキッチンでお茶をしたり、ささやかな日常が盛りだくさん。物語の中には、文化の違いや言葉の壁を乗り越えるための努力や工夫がたくさん詰まっており、旅先での新しい出会いや経験を楽しむためのヒントがたくさんあります。
この本を読めば、トルコ旅行がさらに特別なものになることでしょう。
🇪🇸スペインに持っていきたい作品
マンマ・ミーア! スペイン・イタリア・モロッコ安宿巡礼記 / 森知子 著(幻冬舎文庫)
巡礼の道を旅しながら各地の宿に滞在するエッセイ。
キリスト教徒の巡礼の道であり、巡礼後は全ての罪が許されるといういわれのある、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩く著者。宿泊先でのエピソードや地元の人々との交流を通じて得た体験を詳細に描いています。
また、このエッセイは単なる旅行記にとどまらず、著者自身の内面の成長や気づきも前向きに描かれており、読者は旅の魅力とともに人生について深く考える機会を得ることができます。スペインだけでなく、イタリアやモロッコなど他の国々の安宿でのエピソードも含まれており、多様な文化や風景に触れることができます。なにより、著者の森知子さんの明るい性格に読者も自然と前向きなパワーをもらえる読書体験。
バックパッカーや冒険好きの旅行者にとっては、必読の一冊ですし、元気が欲しい方も!
🇬🇷ギリシャに持っていきたい作品
神様のボート / 江國香織 著(新潮文庫)
精神的に繊細な母親と娘の物語です。
物語の冒頭は、ギリシャの美しい風景から始まり、読者は早速ギリシャのリゾート気分を存分に味わうことができます。
江國さんの細やかな描写と感情豊かな文章は、読者の心に深く響きます。ギリシャ旅行中にこの本を読むことで、現地の風景や文化をより深く理解し、旅の体験を豊かにすることができるでしょう。
物語に登場する「シシリアンキッス」という名前のカクテルは、シャンパンベースのカクテルで、フレッシュなフルーツの香りが特徴です。読書中に現地でシシリアンキッスを飲めたら、きっと忘れらない旅の時間を約束してくれるでしょう。
🇫🇷フランスに持っていきたい作品
6時27分の電車に乗って、僕は本を読む / ジャンポール・リリエローラン 著(ハーパーBOOKS)
パリでの奇妙な習慣を描いたベストセラー小説。
本の焼却場で働く主人公は、毎日焼却炉に残されたページの切れ端を持ち帰って電車の中で朗読するという風変わりな習慣を持っています。
この物語は、パリの自由な雰囲気や文化を反映しており、一見ありえない設定に感じながらも、読者はその独特な世界観に引き込まれてしまいます。
主人公が日常の中で出会う人々との交流や、終盤に待ち受ける小さな恋の冒険を通じて、読者は彼の視点から観光地ではない”生きたパリ”を発見することができます。
物語の中盤に登場するチャーミングな老婆たちにも注目です。
旅先での読書にぴったりの一冊であり、パリの魅力をさらに引き立ててくれるでしょう。
ルーム・オブ・ワンダー / ジュリアン・サンドレル 著(NHK出版)
シングルマザーと息子の感動的な物語。
パリに暮らす主人公たちの生活が描かれており、特に息子の事故をきっかけに始まる母の奮闘と成長紀。
物語の中でパリの風景や日常が詳細に描写されており、読者はパリの街並みを歩いているような感覚を味わえます。また、文中で東京を訪れるシーンもあるのですが、著者が東京の風景を「光り輝く虚無」と例えるシーンは日本人としては特に印象的で、読者に深い印象を与えます。
温かい涙が流れるこの本を通じて、親子の絆や人生の大切な瞬間について考えることができ、旅の中で心に響く読書体験を得ることができるでしょう。
移動祝祭日 / アーネスト・ヘミングウェイ 著(新潮文庫)
言わずと知れた名著。ヘミングウェイのパリでの生活を描いた短編集です。
この作品は、ヘミングウェイがパリで過ごした若き日の思い出を綴っており、パリの文学的な魅力を存分に味わうことができます。有名な冒頭の一文、「君が残りの人生をどこで過ごそうとも、パリは君について回る。なぜならパリは移動祝祭日だから」は、多くの読者の心に響きます。
パリのカフェやシェイクスピア書店、セーヌ川など、数々の名所にちなんで章が区切られているので、読了を目指さず、自分が訪れる場所だけ読むのでも十分。ヘミングウェイと聞くと難しそうと構える方も少なくないのですが、その読みやすさも世代を超えて愛される所以です。
パリを訪れるならば必ず触れておきたい、欠かせない1冊。
🇬🇧イギリスに持っていきたい作品
祖母姫、ロンドンへ行く / 椹野道流 著(小学館)
著者が祖母と共にロンドンを旅するエッセイです。
祖母の夢を叶えるために、著者が高級ホテルやオリエント急行、フォートナム&メイソンなどを訪れる様子が詳細に描かれています。
ロンドンの高級感あふれる風景とともに、家族の絆や思い出が綴られており、温かい気持ちになれます。また、ロンドンの観光地やグルメ、ショッピングスポットなどが豊富に紹介されており、ロンドン旅行を計画している人にとっては貴重な情報源となるでしょう。
このエッセイの魅力は、旅の中での祖母と著者との何気ないやりとり。
自己肯定感MAXな祖母とのやり取りは、人生の大切なレッスンに富んだ会話ばかりで、深く頷いたり、少しうるっとしたり、旅を通じて成長する著者と一緒に読者も何か得るものがあります。チャーミングな祖母を全体的にユーモアたっぷりに描いているため、読みながら思わず笑ってしまう場面も多々あります。
旅先でのリラックスタイムにぴったりの一冊です。
僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー / ブレイディみかこ 著(新潮文庫)
ロンドンでの息子の日常を通じて、国際社会の問題を考える一冊です。
息子が通う中学校での出来事や、日常の中で感じる差別や偏見、環境問題について、母親である著者が丁寧に描写しています。
本作は、子供の成長とともに親がどのようにサポートし、共に学び成長するかを示しています。読者は、国際社会における多様性の重要性や、社会問題への向き合い方について考えさせられます。
ロンドンでの生活がリアルに描かれており、現地での生活や文化に興味がある人にとっては非常に興味深い内容です。旅行中に読むことで、異国の地での生活をより深く理解できるでしょう。
多様性はまず知ることから。
全体を通じてそんなメッセージを感じられる、国際社会を生き抜く教科書の入門編のような作品。
ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻 / P.G.ウッドハウス 著(文春文庫)
優秀な執事と若伯爵のユーモア溢れる物語。
文庫本の帯には、「美智子様愛蔵」の一文が添えられており、それだけでなんだかちょっと雅な気持ちに。
ウッドハウス独特の軽妙な筆致で描かれており、読者はイギリス流のユーモアを存分に楽しむことができます。事実、イギリス的ユーモアのお手本として、イギリスでは長く愛されているシリーズです。
登場人物の個性豊かなキャラクターや、彼らが繰り広げるドタバタ劇は、読み進めるうちに思わず笑ってしまう場面が多々あります。
特に、主人公である執事ジーヴスと若伯爵の掛け合いが絶妙で、彼らの関係性が物語をさらに魅力的なものにしています。
この本を片手に、イギリスのカフェや公園でのんびりと過ごす時間は、旅の素晴らしいひとときとなるでしょう。
紅茶を片手に、このユーモア溢れる物語を楽しんでください。
まとめ
いかがでしたか?
今回紹介した10冊の小説とエッセイは、どれも旅を一層楽しくしてくれること間違いなしです!
ヨーロッパの各地で素敵な読書時間を楽しんでください。
皆様の旅の素晴らしいお供になりますように✈️