こんにちは。オンライン書店「Chapters bookstore(チャプターズ)」を運営する書店主の森本萌乃です。
趣味を「旅先での読書」と公言する、旅好き・本好きの私。なかでもヨーロッパが大好きで毎年訪れています。
二十歳のときにロンドンに留学して以来、ことあるごとに訪れるヨーロッパには、勝手に強いご縁を感じてしまっています。もちろん、移動中や滞在中は読書を欠かしません。
この記事では、そんな旅好き、とりわけヨーロッパ好きの私がヨーロッパ旅行にぜひ持っていって欲しい本を22冊、国別に紹介します。
ヨーロッパが舞台の小説と、現地の旅エッセイが中心です。海外文学も時折入っていますが、読みやすさを重視して選書しました!
実際に読んで選び、熱量がどうか伝わればと時間をかけて紹介文を書いたので、特にご旅行前の方はどうかどうか信じてトランクに入れてくださると嬉しいです笑
この記事を書いた人|森本萌乃
書店主・選書家、株式会社MISSION ROMANTIC代表。オンライン書店「チャプターズ」と東京・市ヶ谷の「チャイと選書」を運営。小説・エッセイを中心に月数十冊に目を通す。愛読書は『アルケミスト』と『その手を握りたい』。旅先での読書が人生のご褒美。著書に小説『あすは起業日!』(小学館)。
動画でもご覧いただけます|ヨーロッパ編私たちのYouTubeチャンネル「楽しい本と書店員」で、この記事の本を実際に手に取りながら紹介しています。
動画でもご覧いただけます|パリ・ロンドン編フランスとイギリスは、国を絞って別の回でじっくり話しています。パリ・ロンドンへ行く予定の方はこちらを。
- 旅に持っていく本の選び方|3つの条件
- ヨーロッパ旅行に持っていく本22選【一覧】
- ヨーロッパ旅行のおすすめは?行き先に迷ったら、本で選ぶ
- フランス・パリに持っていく本|パリが舞台の小説
- イギリス・ロンドンに持っていく本|ロンドンが舞台のエッセイ・小説
- イタリアに持っていく本|イタリアの旅エッセイ
- スペインに持っていく本|スペインが舞台の小説と旅エッセイ
- モロッコに持っていく本|モロッコ・サハラが舞台の小説
- ギリシャに持っていく本|ギリシャが舞台の小説
- トルコに持っていく本|イスタンブールが舞台の小説
- フィンランド・北欧に持っていく本|フィンランドが舞台の小説とエッセイ
- 旅先での読書を楽しむ3つのコツ
- ヨーロッパ旅行の読書についてよくある質問
- まとめ|本を1冊入れるだけで、旅は変わる
旅に持っていく本の選び方|3つの条件
気合を入れて旅行に本をたくさん持っていったのに、結局ほとんど開かなかった。そういう経験、ありませんか。私も何度もやりました。失敗を重ねてたどり着いた条件が、3つあります。
条件① 持ち運べる重さであること
本は意外と重いんです。複数冊持っていきたい方は、文庫をメインにKindleも組み合わせるのがおすすめ。Kindleは暗い機内でも読みやすいです。単行本で読みたいとっておきの作品は、1冊に絞って大事に読むといいでしょう。
条件② ジャンルを変えて持っていくこと
ミステリーとエッセイ。短歌と恋愛小説。複数持っていく場合はジャンルを変えると、気分転換にもなっていいです。現代と時代小説、みたいに時空を変えることも私は時々します。
条件③ これから行く国と、つながっていること
小説の主人公が歩いた通りを、翌日の自分が歩く。ガイドブックでは味わえない体験です。旅先と本の世界が重なる瞬間って最高ですよね!作品はできれば、その土地に何らかのリンクがあるものを。
チャプターズでご紹介する本は、全て読了した本だけ。
オンライン・実店舗ともに、実際に読了しおすすめしたいと心から感じた本だけを扱うのが私たちのモットー。なのでこのブログも、同じ方針で書いていきます!
旅の本はとくに、読んでみないと分からないんです。たとえば 『神様のボート』 は、ギリシャの本として売られていませんが、開いてみると冒頭はギリシャのビーチから始まるんですよね。こういう出会いがあるから、選書って楽しいです。
今回の22冊もまた、タイトルからは想像がつかない意外性にも出会えるように選びました。好きなジャンルなので、まとめも楽しく進みました^^
今回の選書が気になった方は、チャプターズの選書もきっと好みに合うはず。ぜひ覗いてみてくださいね。
ヨーロッパ旅行に持っていく本22選【一覧】
まずは一覧でどうぞ。読みやすさの★5段階は実際に読んだ体感でつけていますので、個人差はあります。書名をタップするとその本の紹介へ飛びます。持って行きたい本を、気軽に探してみてください。
| 書影 | 書名/著者 | 舞台・ページ・読了しやすさ |
|---|---|---|
| フランス・パリ(7冊) | ||
![]() | 01🇫🇷6時27分発の電車に乗って、僕は本を読むジャン=ポール・ディディエローラン(訳:夏目大)/ハーパーBOOKS 長編小説 | パリ郊外・通勤電車 |
![]() | 02🇫🇷ルーム・オブ・ワンダージュリアン・サンドレル/NHK出版 長編小説 | パリ・市内 |
![]() | 03🇫🇷移動祝祭日アーネスト・ヘミングウェイ/新潮文庫 回想エッセイ | 1920年代のパリ/拾い読みOK |
![]() | 04🇫🇷悲しみよこんにちはフランソワーズ・サガン/新潮文庫 長編小説 | コート・ダジュール |
![]() | 05🇫🇷エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ深水黎一郎/講談社文庫 長編ミステリー | パリ・モンパルナス/美術好きに |
![]() | 06🇫🇷新しいパリでしたい100のこと松﨑桃子/だいわ文庫 文庫本/ガイドエッセイ | パリ |
![]() | 07🇫🇷うたかたの日々ボリス・ヴィアン(訳:伊東守男)/ハヤカワepi文庫 長編小説 | パリ/ジャズ好きに |
| イギリス・ロンドン(5冊) | ||
![]() | 08🇬🇧祖母姫、ロンドンへ行く!椹野道流/小学館 旅エッセイ | ロンドン/行く前の予習に |
![]() | 09🇬🇧ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーブレイディみかこ/新潮文庫 エッセイ | ブライトン |
![]() | 10🇬🇧ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻P.G.ウッドハウス/文春文庫 短編集 | ロンドン |
![]() | 11🇬🇧チャリング・クロス街84番地ヘレーン・ハンフ/中公文庫 書簡集 | ロンドン古書店街 |
![]() | 12🇬🇧スナックちどりよしもとばなな/文春文庫 長編小説 | ペンザンス/ロンドンから足をのばして |
| イタリア(2冊) | ||
![]() | 13🇮🇹皿の中に、イタリア内田洋子/講談社文庫 食のエッセイ | カラブリア・リグリア他 |
![]() | 14🇮🇹最後はなぜかうまくいくイタリア人宮嶋勲/日経ビジネス人文庫 エッセイ | イタリア全土 |
| スペイン(2冊) | ||
![]() | 15🇪🇸カミーノ!森知子/幻冬舎文庫 旅エッセイ | サンティアゴ巡礼路・900km |
![]() | 16🇪🇸ガウディの遺言下村敦史/PHP文芸文庫 長編ミステリー | バルセロナ |
| モロッコ(1冊)|スペインから海を渡って | ||
![]() | 17🇲🇦遥かなる水の音村山由佳/集英社文庫 長編小説 | モロッコ・サハラ砂漠 |
| ギリシャ(2冊) | ||
![]() | 18🇬🇷神様のボート江國香織/新潮文庫 長編小説 | ギリシャの海辺 |
![]() | 19🇬🇷ギリシア神話を知っていますか阿刀田高/新潮文庫 教養エッセイ | 遺跡・美術館めぐりに |
| トルコ(1冊) | ||
![]() | 20🇹🇷村田エフェンディ滞土録梨木香歩/角川文庫 長編小説 | イスタンブール |
| フィンランド・北欧(2冊) | ||
![]() | 21🇫🇮フィンランド語は猫の言葉稲垣美晴/角川文庫 留学エッセイ | ヘルシンキ |
![]() | 22🇫🇮色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年村上春樹/文春文庫 長編小説 | ヘルシンキ・湖水地方 |
今回ご紹介する本、すぐに読了するよりも、作品によってはあえて途中で止めて飛行機の中や現地に持っていくことをおすすめします。読了の瞬間をその土地で迎えることが、旅先読書の至福の瞬間になるはずです!
※ ページ数と読了しやすさ★は、チャプターズの独自データです(★5=最も読みやすい)。個人による感想で根拠はありません。また作品によっては版ごとにページ数が異なります。
※ 本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。Amazonのアソシエイトとして、Chapters bookstoreは適格販売により収入を得ています。作品の選定はすべて書店主の実際の読書にもとづくもので、掲載順・評価に広告的な意図はありません。
ヨーロッパ旅行のおすすめは?行き先に迷ったら、本で選ぶ
ヨーロッパ旅行のおすすめを調べはじめると、行きたい街が多すぎて決められないこと、ありますよね。パリもいいし、ロンドンもいい。イタリアやスペインも捨てがたい。
そんなときは、旅先を本で選ぶ、なんていうのも粋ですよね。先に1冊読んでみて、物語の舞台にいちばん行きたくなった街へ。ガイドブックのランキングとは、ちょっと違う選び方ができます。
この記事の22冊を、「こんな旅がしたい」という気分ごとに、街と本の組み合わせにまとめました。行き先がまだ決まっていなくても大丈夫です。気になった本から、旅先を決めてみてください。
| こんな旅がしたいなら | 訪れたい街 | 先に読む本 |
|---|---|---|
| 街歩きと美術館 | パリ | 『移動祝祭日』 『エコール・ド・パリ殺人事件』 『うたかたの日々』 |
| 海辺でのんびり | 南フランス(コート・ダジュール) | 『悲しみよこんにちは』 |
| 本屋・古書店めぐり | ロンドン | 『チャリング・クロス街84番地』 『祖母姫、ロンドンへ行く!』 |
| 海辺の小さな町でのんびり | イギリス・ペンザンス | 『スナックちどり』 |
| 食べる旅 | イタリア | 『皿の中に、イタリア』 |
| とにかく歩く旅 | スペイン・巡礼路 | 『カミーノ!』 |
| 建築を見る旅 | バルセロナ | 『ガウディの遺言』 |
| 海と遺跡 | ギリシャ | 『神様のボート』 『ギリシア神話を知っていますか』 |
| 東と西が交わる街 | イスタンブール | 『村田エフェンディ滞土録』 |
| 静かな北欧 | ヘルシンキ | 『フィンランド語は猫の言葉』 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 |
ヨーロッパで訪れるべき街は、数えきれないほどあります。決め手は人気の順位より、読んで心が動いた場所かどうか、なのかもしれません。
フランス・パリに持っていく本|パリが舞台の小説
パリは、ガイドブックから見える華やかさと、実際の生活が息づく素朴さ。全く二つの顔を持つ街です。
ここで挙げる7冊は、どちらかというと現地のパリを見せてくれるでしょう。「パリ エッセイ」「パリ 小説」で探している方は、まずこの7冊から。
フランス・パリ/長編小説
6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む

本の裁断・廃棄処理をする工場で働く主人公は、毎朝6時27分発の通勤電車で、機械から救い出した本のページの切れ端を朗読するという、風変わりな習慣を持っています。誰に頼まれたわけでもなく、脈絡のないページを、声に出して。
旅のお供にいい理由
- 通勤電車の物語を、電車で読む
- メトロやTGV、フランスの移動中に読むのにこれ以上ない1冊です。同じ車両に座っている人たちの顔が、少し違って見えてきます。
- ちょっとファンタジー
- 電車の中で毎日、主人公が本の切れ端のページを朗読するんです。そんなことある?迷惑じゃない?と思ってしまうのですが、これもなんとなくあり得てしまいそうなのがパリの力!
- ラストがハッピーエンド
- 冒頭、読みづらさは感じるかもしれませんが途中から盛り上がるので頑張って!ラストまでぜひ。
書店主のおすすめポイントパリの移動手段は電車が必須!だからこそパリに持っていくのにぴったりの1冊です。ありえない設定なのに腑に落ちちゃうのがパリのロマンチックな魔法だなと思って読み終えました。物語の中盤に出てくるチャーミングなおばあちゃんたちが物語を賑やかに楽しませてくれるので、おばあちゃんが出てくるまでは頑張って笑!そこからは一気に読みやすくなります。終盤の小さな恋の行方にもご注目ください。
Amazonで見るフランス・パリ/長編小説
ルーム・オブ・ワンダー

パリで働くシングルマザーの主人公。仕事に追われる日々のなか、12歳の息子が事故で意識不明になるところから物語が動きはじめます。息子の部屋で見つけた「やりたいことリスト」を、母が代わりに叶えていく話です。
旅のお供にいい理由
- パリの日常が細かく書かれている
- 通勤、学校、病院、カフェ。観光では見えないパリの生活動線がそのまま描かれていて、街を歩いているような感覚になります。
- 日本人として印象的な一行がある
- 物語の途中で東京が登場します。著者が東京の風景を「光り輝く虚無」と表現する場面は、日本から来た読者ほど立ち止まってしまうはずです。
- 先が気になって進む
- 章が短く、展開が速い。乗り継ぎの待ち時間でも、するするとページが進みます。
書店主のおすすめポイントこう言うと冷めてしまう方もいるかもしれませんが……正直泣けます。号泣でした。ただ、悲しくて泣くのではなく、あたたかくて泣くタイプの本です。公共の場で読む場合は少しだけご注意を。物語に登場する息子がスケボー少年なので、パリの街角でスケボー少年を見かけると重なるものがあり、勝手に物語を想像してしまいます。
Amazonで見るフランス・パリ/回想エッセイ
移動祝祭日

ヘミングウェイが20代を過ごした1920年代のパリを、晩年になって振り返った回想録。カフェで原稿を書き、シェイクスピア&カンパニー書店で本を借り、セーヌ川沿いを歩いた日々が、短い章の連なりで綴られます。
旅のお供にいい理由
- 場所ごとに章が分かれている
- 明日行く場所の章だけ読む、という使い方ができます。通読しなくていい本なので、旅程に合わせてめくってください。
- 実在の店が、いまも残っている
- シェイクスピア&カンパニー書店をはじめ、本に出てくる場所の多くが現存します。本を持って訪ねると、100年前と地続きになります。
- 昔の海外文学にしては読みやすい
- ヘミングウェイは難しそう、と身構えられがちですが、一章ごとが短いので読みやすいです。
If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a moveable feast.
「もし幸運にも、若者の頃にパリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこで過ごそうとも、パリはいつも君についてくる。なぜなら、パリは移動祝祭日だからだ」
アーネスト・ヘミングウェイ(1950年、友人に宛てた手紙より)
書店主のおすすめポイントヘミングウェイが1950年に友人に宛てた手紙に書いた言葉から着想を得てつけられたタイトルがあまりにも有名です。内容の前に教養の一環として、パリ行くなら一応読んどくといいよ〜と軽く勧められる1冊。ちなみに有名な引用の言葉の意味は、パリを離れる飛行機の中で読むといちばん深くわかるかなと個人的には感じました。
Amazonで見る南フランス/長編小説
悲しみよこんにちは

パリから南へ約600km、コート・ダジュールの別荘で過ごすひと夏の物語。17歳の少女セシルと、父と、父の恋人たち。まぶしい海と、少女のささやかな企みが、静かに破滅へ向かいます。サガンが18歳で書いたデビュー作です。
旅のお供にいい理由
- 南仏バカンスの空気がそのまま入っている
- ニース、カンヌ、サントロペ方面へ行く方に。海辺で読むために書かれたような1冊です。
- 197ページと薄い
- 往路の機内で読み切れる分量です。荷物にもなりません。
- パリとは違うフランスが見える
- フランス=パリではありません。南に行くと光も食事も人の速度も変わります。その差を知っておくと旅の解像度が上がります。
書店主のおすすめポイント読了しやすさは★2。薄いのに、文章の密度が高くちょっとだけ難解な1冊です。ただラストが戦慄の素晴らしさなので、頑張って読了してほしいです。難しいからこそ、ホテルのベランダやビーチなど風景が重なると読み進めたくなりそうですよね。フランスに限らず、どんなビーチも似合ってしまうのが不思議!ビーチリゾートのお供に。
この本を読む(Amazon)フランス・パリ/長編ミステリー
エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ

副題の「レザルティスト・モウディ」は、フランス語で「呪われた画家たち」。20世紀初頭、世界中から画家が集まったパリ・モンパルナスの一時代——エコール・ド・パリを題材にしたミステリーです。絵画をめぐる謎と、美術評論のような読みごたえが同居しています。
旅のお供にいい理由
- 美術館へ行く日の前夜に
- パリで美術館を回る予定があるなら、これを読んでから行ってください。絵の前に立つ時間が、まちがいなく長くなります。
- モンパルナスが舞台・オランジュリー美術館鑑賞前にも◎
- 観光の中心からは少し外れたエリアですが、かつてアーティストたちがたくさん住んでいたこのエリア、本作を読むとわざわざ足を延ばしたくなります。
- ミステリーなので進む
- 長距離フライトでも飽きません。謎を追いながら、いつのまにか美術史の知識がついています。どちらかというと、この美術史の部分が最高に面白い!
書店主のおすすめポイントミステリーとして読んでも、アートの本として読んでも成立しますが、アートの一面に私は引き込まれました。ヨーロッパ旅は美術館が目当て、という方には、正直22冊の中で一番おすすめです。特にオランジュリー美術館の常設作品、スーティンの絵画は読了後に見ると感動します。
この本を読む(Amazon)フランス・パリ/ガイドエッセイ
新しいパリでしたい100のこと

定番のその先にあるパリを、100のテーマで案内するガイドエッセイ。新しくできたスポット、あまり知られていない場所、無料で楽しめる施設、少し足を延ばす「アラウンド・パリ」まで。泊まる・食べる・買う・見る・歩く・体験するの6つの角度から構成されています。
旅のお供にいい理由
- 1テーマが1〜2ページ
- 100項目それぞれが独立しているので、出発前のカフェでも、現地の移動中でも、開いたところから読めます。
- パリのローカルを知り尽くした著者の1冊
- 定番を一通りまわったあとのパリが書かれています。2回目以降のパリへ行く方に特におすすめ。
- 320ページ・読了しやすさ★★★★★
- 通しで読まなくて大丈夫です。行く予定のエリアの項目だけ拾い読みする、という使い方もできます。
書店主のおすすめポイントガイドブックだとまず見ないような地域がたくさん出てきて、生きたパリを感じさせてくれる1冊!ここでこれを食べる、とか、ここでこれを見る、とか、パリに精通した著者が具体的に教えてくれるので、旅中のto doリストが増えていきます。マカロンもエッフェル塔もほとんど出てこない、かっこいいパリです。学生さんに朗報!貧乏卒業旅行にも、きっと寄り添ってくれます。
Amazonで見るフランス・パリ/長編小説
うたかたの日々

純粋無垢な青年コランは、パーティで出会ったクロエと恋に落ち、結婚します。ところがクロエは肺の中に睡蓮が育つという奇妙な病にかかり、二人の暮らしは少しずつ形を変えていきます。カクテルを作るピアノや、コランの家に住む小さなハツカネズミが当たり前のように出てくる、現実と幻想が溶けあう恋愛小説です。
旅のお供にいい理由
- サン=ジェルマン=デ=プレを歩く日に
- ヴィアン自身、戦後のサン=ジェルマン=デ=プレのジャズクラブでトランペットを吹いていた人です。作中には哲学者サルトルをもじった「ジャン=ソール・パルトル」も登場します。カフェ・ド・フロールやドゥ・マゴのあたりを歩くと、物語の空気がふっと近くなります。
- ジャズを聴きながら読む
- クロエの名前は、デューク・エリントンの曲から取られています。イヤホンでエリントンを流しながら機内で読むのも、この本ならではの楽しみ方です。
- わからないところは、わからないままで大丈夫です
- 言葉遊びや奇妙な描写が続くので、最初は戸惑うかもしれません。全部を理解しようとしなくて大丈夫です。絵を眺めるように、ページをめくってみてください。
書店主のおすすめポイント何気ないリビングで食事をしていたかと思えば、突然ピアノが鳴りだしてカクテルを作りはじめる。気づけば、もうファンタジーの中に引き込まれています。愛する妻が「肺に睡蓮が咲く病」に侵されていく姿は、悲しいのに、あまりに美しい。パリの地名もたくさん出てくるので、旅行に持っていくのにぴったりです。正直、少し難しい本です。なので物語を追うよりも、雰囲気に酔いしれてほしい。読むというより、のっかってみてください。
Amazonで見る
パリの本は、ここまで。自分で決めるのが苦手な方は、選書サービスがおすすめ◎
チャプターズでは、プロの書店員があなたのために毎月1冊を選びます。毎年夏には「本で旅する」をテーマに選書をしており、チャプターズが一番力が入る分野の一つです。
イギリス・ロンドンに持っていく本|ロンドンが舞台のエッセイ・小説
ロンドンは、二十歳の時に留学して1年間住んだのでとくに思い入れのある街です。「紅茶とスコーンとユーモア」がぴったり似合うロンドンの街で読みたい作品を、4つの角度から。最後に、ロンドンから足をのばした海辺の町が舞台の1冊も。
イギリス・ロンドン/旅エッセイ
祖母姫、ロンドンへ行く!

著者が自己肯定感MAXの祖母と2人でロンドンを旅するエッセイ。高級ホテル、オリエント急行、フォートナム&メイソン。祖母の「行きたい」を全部叶えるために、孫が奔走します。
旅のお供にいい理由
- そのまま「行く前の予習」になる
- ここが最大の特徴です。高級ホテルでのふるまい方、アフタヌーンティーの流儀、老舗デパートの歩き方が、実体験として書かれています。ガイドブックより具体的で読んだ翌日から使えます。
- 笑える
- 祖母のキャラクターが圧倒的です。声を出して笑ってしまう場面があるので機内では少しだけご注意を。
- 読み終わると人に優しくなれる
- 祖母と孫の何気ないやりとりに、人生のレッスンが山ほど入っています。笑って少しうるっとして旅がはじまります。
書店主のおすすめポイントロンドンに行く前に読むなら、私は真っ先にこれを渡します。無茶な高級旅ですが、せっかく行くなら贅沢を楽しみたい!そんな旅のわがままが読みながら楽しめる1冊。エッセイなのかフィクションなのか、途中から線引きも曖昧になり、ただただロンドンに恋する1冊です。
Amazonで見るイギリス・ブライトン/エッセイ
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ロンドンから電車で1時間、イギリス屈指の海辺の街ブライトンが舞台。アイルランド人の夫と暮らす日本人の著者が、中学生の息子の学校生活を通して、人種・貧困・多様性を書いたノンフィクションです。
旅のお供にいい理由
- 観光ではなかなか見えない層が見える
- 同じ街に、まったく違う暮らしが重なっている。この本を読んでからロンドンの地下鉄に乗ると見える人が変わります。
- 一話完結で読みやすい
- エピソードごとに区切られているので移動中に少しずつ。読了しやすさ★★★★★です。
- ブライトンは日帰りで行ける
- ロンドン滞在に1日余裕があるならこの本を持って海まで。本の舞台を歩けます。
書店主のおすすめポイント多様性はまず知ることから——全体を通してそんなメッセージを感じられる、国際社会を生き抜く教科書の入門編のような作品です。Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞も獲った人気作は、続編も負けず劣らず面白いので2冊読みもおすすめ。ブライトン、案外近いので滞在が長い方は足を伸ばしてみるのもおすすめです。フィッシュ&チップスの本場です!海辺で本を読みながらのんびり食べていると鳥に狙われちゃうので、そこだけ気をつけてね。
Amazonで見るイギリス・ロンドン/短編集
ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻

とびきり優秀な執事ジーヴズと、まるで役に立たない若き主人バーティ。毎回バーティが厄介事を起こし、毎回ジーヴズが涼しい顔で解決する——それだけの短編集です。それだけなのに、100年読み継がれています。
旅のお供にいい理由
- 1話20〜30ページの短編集
- 読了しやすさ★★★★★。搭乗待ちで1話、カフェで1話。旅のリズムにいちばん合う形です。
- イギリス的ユーモアのお手本
- 現地の人が笑うポイントがわかるようになります。イギリスでは「ユーモアの教科書」として長く愛されてきたシリーズです。
- 読後感が軽い
- 重いテーマがいっさいありません。旅の疲れが出てきた3日目あたりに、ちょうどいい1冊です。
書店主のおすすめポイント文庫の帯に「美智子さま愛蔵」と添えられていて、それだけで少し背筋が伸びます。言い回しに独特のくせがあるので、するする読める本ではありませんが、これがイギリスのユーモアか〜と噛み締めながら読むといいでしょう。水戸黄門のようにジーヴズがなんでも解決してくれる様が痛快!まさに紅茶とスコーンが似合います。
Amazonで見るイギリス・ロンドン/書簡集
チャリング・クロス街84番地

ニューヨークで暮らす本好きの女性と、ロンドンの古書店マークス社との、20年にわたる文通の記録。実際にやりとりされた手紙だけで構成された、実話です。最初は本の注文書。それが少しずつ、会ったことのない人同士の友情に変わっていきます。
旅のお供にいい理由
- チャリング・クロス街は、いまも本の街
- 実在の住所です。この本を持ってチャリング・クロス・ロードを歩くと古書店街の見え方が完全に変わります。
- 手紙1通ずつなのでどこでも中断できる
- 1通が1〜2ページ。旅先の細切れ時間と、これ以上ないほど相性がいい形式です。
書店主のおすすめポイント本屋とお客さんのあいだに起こりうる美しいやりとり、これが実話と聞くと、本当に書店って本を売る以上の場だなとしみじみ感じます。戦時中に互いを思いやる心に胸を打つ、じんわり優しい気持ちになる1冊。ニューヨークに持って行ってもいいかもしれません!
この本を読む(Amazon)イギリス・ペンザンス/長編小説
スナックちどり

40歳を目前に離婚し、仕事もやめた「私」と、親代わりの祖父母を亡くしたばかりの従妹・ちどり。淋しさを抱えたふたりが向かったのは、イギリス西端の小さな海辺の町・ペンザンスでした。五日間の小旅行のあいだに、ふたりの心が少しずつほどけていく物語です。ちなみにタイトルは、ちどりの祖母が営んでいた「スナックみどり」から。酒場の小説ではないんです。
旅のお供にいい理由
- ロンドンから足をのばす旅に
- ペンザンスへは、ロンドンのパディントン駅から直通の列車が出ていて、6時間ほど。夜行の寝台列車も走っています。ロンドン滞在に1〜2日足して、物語の町まで行ってみるのもいいですよね。
- 192ページと薄い
- 片道の列車でも読み終えられるくらいの分量です。重たい荷物にもなりません。
- ロンドンとは違うイギリスが見える
- イギリス=ロンドンではありません。都会を離れた西の端の、海と風の町の時間が流れている1冊です。
書店主のおすすめポイント「スナック」というタイトルから、まさかイギリスの片田舎へ思考を飛ばされるとは思っておらず、旅の準備がほぼできていないような心持ちで読み始めました。年中ほぼ曇り、曇天のイギリスは、きっと考え事にもピッタリの街。大切な人を亡くした登場人物をなぐさめるような空だなと、イギリスの新しい見方を発見したように感じます。ちょっと疲れたときのひとり旅には、イギリスのみならずどこでも連れていくのにちょうどいい小説。ロンドンではないですが、旅に余裕がある方は、どこか寂しげなイギリスの海街まで足をのばすのもいいかもしれません。
この本を読む(Amazon)イタリアに持っていく本|イタリアの旅エッセイ
「イタリアに行く前に読む本」を探してこの記事にたどり着く方が、実はいちばん多いです。おおらかでどこかのんびりした雰囲気が、私たちに本を持って行かせるのでしょうかね。
「食」と「人」という2つの入口から、2冊選びました。どちらもイタリアを長く見てきた書き手による1冊です。
イタリア/食のエッセイ
皿の中に、イタリア

イタリア在住の著者が綴る、食をめぐるエッセイ。冒頭からいきなり、カラブリア出身の強面の魚屋三兄弟が登場します。聞き慣れない地名と、青空市場の匂いと、人の声。読みはじめて数ページで、イタリアの路地に立っています。
旅のお供にいい理由
- 食事が何倍も楽しみになる
- その土地で何をどう食べるか、が書かれています。レストランのメニューを開く前に読んでおくと選ぶものが変わります。
- 観光地以外のイタリアが出てくる
- ローマ・フィレンツェ・ヴェネツィアだけがイタリアではありません。カラブリア、リグリア。次に行きたい場所が増えてしまう本です。
- 1話ずつ独立している
- エッセイなのでどこから読んでも、どこで止めても大丈夫です。
書店主のおすすめポイント内田さんの文章には、イタリアという国への愛情が最初から最後まで流れています。イタリアに関するエッセイを数多く出版されている内田さんのなかでも、丸ごと1冊、食に触れているのはこちらの作品!表紙の鮮やかなブルーとピンクも可愛くて、カバンに入れておきたくなります。イタリアでの食事をもっと楽しませてくれる、旅の高揚感を高める1冊です。
Amazonで見るイタリア全土/エッセイ
最後はなぜかうまくいくイタリア人

イタリアで長く仕事をしてきた著者が書いた、イタリア人の思考と働き方についての観察記。計画は崩れ、約束は守られず、それでも最後はなぜかうまくいく。その理由を、あきれながらも愛情を持って分解していきます。
旅のお供にいい理由
- 現地でイライラしなくなる
- 実用面での効果が大きい1冊です。電車が遅れる、店が開かない、注文が違う。この本を読んでおくとその全部が「そういう国だった」に変わります。
- ビジネス書の棚にあるが、読み物として面白い
- 私はエッセイとして楽しみましたが、異文化を理解するという面ではビジネスにも効きそう。
書店主のおすすめポイント構成が分かりやすく、忙しくてもするする読み進められるので、こちらを読みやすさ★5つにしました!本が苦手な方も安心して手に取ってみてください。イタリア人の特性を少し理解できた気持ちになると、旅でも思い切って話しかけたり、笑顔を振り撒く余裕が出てきそうな気がします。
この本を読む(Amazon)イタリアが舞台の小説なら、ほかにもこんな作品が
イタリアが舞台の小説といえば、『冷静と情熱のあいだ』(江國香織・辻仁成)があまりにも有名です。今回は取り上げませんでしたが、未読の方はぜひ。大人の恋にうっとりしながら、フィレンツェのドゥオーモを登るモチベーションも上がります。
エッセイなら『イタリアからの手紙』(塩野七生)も有名どころ。小説では『ドルチェには恋を添えて』(アンソニー・カペラ)を今回調べているなかで見かけて、私は積読に追加しました!
ここまでで12冊。持って行きたい1冊は見つかりましたか?
チャプターズでは毎月テーマを決めて、3作品を選び気になった1冊をお客様にお届けしています。本との出会いが、次のあなたの行き先を導いてくれるなんてこともありますよ。
スペインに持っていく本|スペインが舞台の小説と旅エッセイ
スペインは「歩く国」です。サンティアゴ巡礼路を歩く人も、バルセロナの街を一日中歩き回る人も。歩く旅にふさわしい2冊を選びました。
スペイン・巡礼路/旅エッセイ
カミーノ!

巡礼路「カミーノ」そのものを歩く1冊。宿の話でも観光の話でもなく、道そのものの話です。何日も歩き続ける人たちが、道の上で何を考えているのかが書かれています。著者の森さんの明るさに導かれて元気が出る、元気のない時のエナジーチャージにもおすすめの1冊。
旅のお供にいい理由
- 巡礼を考えている人の実用書になる
- 装備、距離、体の限界、宿の取り方。読み物でありながら、実際に歩く人の参考になります。
- 歩く旅の気分に切り替わる
- 巡礼をしない方でも、バルセロナやマドリードを一日中歩く日の前夜に読むと足取りが軽くなります。
- バルセロナやマドリードの外側
- 都市ではない、村と村をつないで歩くスペインが出てきます。巡礼路を歩く予定がなくても、この国の骨格が見えてきます。
書店主のおすすめポイントこの本を読んで影響を受け、実際に巡礼路を歩いたという方を、私は今までに3名聞いたことがあります。それだけ楽しそうで行ってみたくなるんですよね、森さんのエッセイって。すごい引力!離婚・無職のダブルパンチのなかでも底抜けに明るい彼女の光に導かれて、旅への不安もどこかへ吹き飛んでしまいそうです。
この本を読む(Amazon)スペイン・バルセロナ/長編ミステリー
ガウディの遺言

サグラダ・ファミリアをめぐるミステリー。ガウディが遺した建築そのものに謎が仕掛けられている、という構造の長編です。バルセロナの街と、あの教会の細部が、物語の道具として使われていきます。
旅のお供にいい理由
- サグラダ・ファミリアの見え方が変わる
- これが最大の理由です。サグラダ・ファミリアのガイドブックとしても優秀!特に柱の1本、彫刻のひとつひとつが気になってきます。
- ミステリーなのでページが進む
- 長い移動でも飽きません。バルセロナへの長距離フライト向きです。
- 建築の知識がなくても読める
- 専門的な話は物語の中で説明されます。ガウディ建築の入門としても機能します。
書店主のおすすめポイント下調べが素晴らしいなと唸った作品。サグラダ・ファミリアに関しては、普通のガイドブックなんかよりよっぽど面白く、そして分かりやすかったです。ミステリーなので続きが気になって読書が進むのもありがたいです。バルセロナに行く方は、もう強制的に読んでほしい笑。サグラダ・ファミリア鑑賞前がおすすめなので、機内の読書に最適です。
この本を読む(Amazon)モロッコに持っていく本|モロッコ・サハラが舞台の小説
スペイン最南端のタリファから船で1時間。ヨーロッパの旅に、もう一カ国だけ足せる場所がモロッコです。ついでに寄る、にはもったいない国なので、1冊だけ。
モロッコ・サハラ/長編小説
遥かなる水の音

亡くなった友人の遺灰を、彼が望んだサハラ砂漠へ届けるために、4人がモロッコへ旅立つ物語。それぞれが抱えているものを持ったまま、同じ砂漠を目指します。都市から砂漠へ、風景がゆっくり変わっていく過程が丁寧に書かれています。
旅のお供にいい理由
- 移動そのものが物語になっている
- 目的地に着くまでの道中が、そのまま話の中身です。長距離バスや列車の中で読むと自分の移動と本の移動が重なります。
- 砂漠の描写が効く
- 光と温度と静けさ。サハラへツアーで入る予定がある方は、行きの車中で読んでおいてください。着いたときの感じ方が変わります。
- スペイン旅とつなげられる
- タリファからタンジェへ船で1時間。スペイン南部とモロッコをセットで回る方には、そのまま道行きが重なります。
書店主のおすすめポイント旅の本であり、喪失の本でもあります。ラブストーリーであり、ヒューマンドラマ。さくさく読む作品ではないので、ゆっくり読み進めて3ヶ月くらい、私の心はずーっとモロッコにいた気がします。旅の道中でのやりとりを細かく書いてくれているので、どうしても移動時間が長いヨーロッパ旅の、目的地に着くまでの時間も楽しませてくれることでしょう。誰かとのお別れを機に、旅に出る方も多いはずです。モロッコに限らず、そんな区切りのタイミングの旅を控えた方には、行き先を問わずおすすめです。
この本を読む(Amazon)ギリシャに持っていく本|ギリシャが舞台の小説
ギリシャは「風景」と「神話」の2本立てで読むのが、いちばん贅沢だと思っています。小説で気分をつくり、神話で遺跡を読み解く。
ギリシャ/長編小説
神様のボート

去っていった男を待ち続ける母と、その娘の物語。冒頭が、ギリシャの美しい風景から始まります。ページを開いた瞬間、いきなりリゾートに連れていかれる1冊です。
旅のお供にいい理由
- 冒頭だけで旅気分になる
- 出発前夜に最初の数ページを読むとそれだけで荷造りが楽しくなります。
- 江國香織さんの描写力
- 光、水、空気の温度。現地で読むと目の前の景色と文章が重なります。
- シシリアン・キスを飲みながら
- 作中に登場する、シャンパンベースのカクテルです。現地のバーで注文してこの本を開く。旅の記憶としてまず忘れません。
書店主のおすすめポイントギリシャそのものを書いた本ではありませんが、それでも入れたかったのは、冒頭があまりに鮮烈だから。シシリアン・キス、私も飲んでみたいです!
Amazonで見るギリシャ/教養エッセイ
ギリシア神話を知っていますか

ギリシア神話の主要なエピソードを、作家の語り口で一話ずつ紹介していく1冊。研究書ではなく、あくまで読み物です。神々の名前が覚えられなくて挫折した人のための本、といってもいいかもしれません。
旅のお供にいい理由
- 遺跡と美術館が「読める」ようになる
- 神話を知らずにパルテノン神殿や博物館に行くとただの古い石ですが、前知識があればあるだけギリシャ旅は楽しくなります。
- 一話完結で拾い読みできる
- 通読しなくて大丈夫。行く場所に関係する神様の話だけ読む、という使い方が向いています。
- ギリシャ以外でも効く
- ヨーロッパの美術館は、ギリシア神話を題材にした絵だらけです。教養としても触れるといいでしょう。
書店主のおすすめポイント一時期ギリシャ神話にハマっており、ギリシャ神話の関連本を読み漁ったなかでこちらが一番楽しかったです!史実や年表じゃなくて、神様たちのゴシップが知りたいのよ私は!という気持ちで、ゴタゴタ話を楽しく知れました笑 ヨーロッパを何度か旅するつもりなら、どこかで一度は通っておきたい1冊です。一生ぶん使える前知識になります。
この本を読む(Amazon)トルコに持っていく本|イスタンブールが舞台の小説
トルコ・イスタンブール/長編小説
村田エフェンディ滞土録

舞台は明治時代のイスタンブール。留学生の村田君が、ギリシャ人・ドイツ人・イギリス人の下宿仲間と共同生活を送る物語です。雪合戦をしたり、台所でお茶を淹れたり。ささやかな日常の積み重ねでできています。
旅のお供にいい理由
- 異文化のなかで暮らす感覚がわかる
- 100年前も今も、言葉の壁と文化の違いは変わりません。その乗り越え方のヒントが、たくさん入っています。
- 193ページと薄い
- 読了しやすさ★★★★★。往路で読み切れる分量です。
- 少しだけファンタジー
- 現実とふしぎの境目が曖昧な、梨木香歩さんらしい手ざわり。時差ボケの頭でぼんやり読むのに、驚くほど合います。
書店主のおすすめポイント読み終わったあとに、ちょっと切なくなります。異国で誰かと過ごした時間は、いつか必ず終わる——留学経験があったり、外国のお友達がいる方は、より共感が強い1冊だと思います。梨木さん独特の文体がクセになり、日本文学を異国情緒と楽しめる傑作です。
Amazonで見るフィンランド・北欧に持っていく本|フィンランドが舞台の小説とエッセイ
ヘルシンキは、日本から近いヨーロッパということでトランジットに利用される方も多いです。空港での乗り継ぎ待ちの数時間が、少し楽しみになればいいなあと想像しながら、2冊をおすすめします。
フィンランド・ヘルシンキ/留学エッセイ
フィンランド語は猫の言葉

1970年代末、インターネットもない時代に、たったひとりでヘルシンキへ留学した著者の体験記。ムーミンでもサウナでもない、生活としてのフィンランドが書かれています。タイトルはフィンランド語の響きから来ています。
旅のお供にいい理由
- いまの北欧ブームの前の北欧
- 観光地として整う前の姿です。「おしゃれな北欧」の下にある素の部分に触れられます。
- ヘルシンキ乗り継ぎの人にも
- ヨーロッパへの経由地としてヘルシンキを通る方は多いはずです。トランジットの数時間が、少し楽しみになります。
- 笑える留学記
- 言葉が通じない苦労が、湿っぽくなく書かれています。読了しやすさ★★★★★。
書店主のおすすめポイント耳がちぎれるほど寒いフィンランドでの留学生活は、ドタバタと事件や新たな発見の連続。ちょっと観点は違うかもしれませんが、賢い女性のユーモアって最高だなと思い、歳をとるのが楽しみになります。長く読み継がれてきた理由が、読めば分かるはず。
この本を読む(Amazon)フィンランド・ヘルシンキ/長編小説
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

高校時代の親友4人からある日突然、理由も告げられず絶縁された主人公。16年後、その理由を確かめる旅に出ます。その旅の終着点が、フィンランドです。物語の後半、舞台はヘルシンキから湖のほとりの家へと移っていきます。
旅のお供にいい理由
- そもそも「巡礼」の物語
- タイトルのとおり、過去を確かめに行く旅の話です。旅の途中で読むと、自分の旅の意味まで少し考えてしまいます。
- 村上春樹作品のなかでは筋がはっきりしている
- ファンタジー要素は控えめで、話の筋は追いやすいです。ただ長さがあるので、まとまった読書時間が取れる旅程のほうが向いています。
書店主のおすすめポイントこの本、正直ヘルシンキは終盤のほんの少しです。ですが、旅に出るにいたるまでの主人公の心理が追えるので、日本で読み始めて、中盤過ぎたあたりでトランクに入れたらいいなと思って選びました。村上春樹さんの作品のなかでも読みやすいほうかなと思います。
この本を読む(Amazon)地球儀で、旅先から本を選ぶ
この記事とアジア・アメリカ編で紹介した本を、地球儀の上に並べました。ピンを押すと東京から飛行機が飛び、その街の本が開きます。
地球儀を読み込んでいます…
旅先での読書を楽しむ3つのコツ
- 紙と電子を併用する
滞在が長いなら、電子書籍を数冊入れておくと安心です。ただし本の舞台に立つときは、紙の本を持っていてほしいと思っています。写真がまるで違うものになります。 - 読む場所をなんとなく決めておく
本に出てきたカフェ、公園、駅のホーム。「この場所でこの本を読む」と決めておくと、旅の記憶が本と一緒に保存されます。何年経っても、開くたびに戻れます。 - 帰国後にもう一度開く
これがいちばん贅沢です。行く前に読んだときと、帰ってから読み返したときとでは、同じ文章がまったく違って見えます。旅は、本の中でもう一度できます。
ヨーロッパ旅行の読書についてよくある質問
ヨーロッパで訪れるべき街はどこですか?
正解はひとつではないので、そのときの気分で選んで大丈夫です。街歩きと美術館ならパリ、本屋めぐりならロンドン、食べる旅ならイタリア、歩く旅ならスペインの巡礼路が人気です。この記事では、街ごとに先に読んでおきたい本も紹介しています。旅先を本で選んでみるのも、楽しい決め方です。
ヨーロッパ旅行に持っていく本は、何冊が適切ですか?
2冊をおすすめしています。移動中に読む軽めの1冊(短編集やエッセイ)と、滞在中にじっくり読む1冊の組み合わせです。3冊以上は荷物になるだけで、実際にはほとんど読み切れません。滞在が2週間を超えるときは、紙の本2冊に加えて電子書籍を数冊入れておくと安心です。持っていった本を全部読めなくても、気にしなくて大丈夫ですよ。
旅行に持っていくなら、小説とエッセイのどちらがいいですか?
移動時間が長い旅ならエッセイ、滞在型の旅なら小説が向いています。エッセイは数ページで区切れるため、搭乗待ちや乗り継ぎといった細切れの時間でも読み進められます。小説は物語に入り込む時間が必要なので、ホテルやカフェでまとまった時間が取れる旅程に向いています。この記事では両方を紹介しているので、旅のスタイルに合わせて選んでみてください。
ヨーロッパが舞台の小説で、読みやすいものはどれですか?
小説では『エコール・ド・パリ殺人事件』(読了しやすさ★4)と『神様のボート』(★4)が読みやすいです。どちらも薄めで、文章に引っかかりがありません。エッセイまで広げるなら『祖母姫、ロンドンへ行く!』『最後はなぜかうまくいくイタリア人』『カミーノ!』の3冊が★5です。海外文学をふだん読まない方は、このあたりから開いてみてください。
本は行く前に読むべきですか、現地で読むべきですか?
半分ずつがおすすめです。行く前にすべて読み終えてしまうと、現地で「この場所だ」と気づく楽しみがなくなります。出発前に前半を読んで土地の輪郭をつかみ、後半は現地で読む。この読み方だと、物語の場面と実際の風景が重なる瞬間が生まれます。帰国後に読み返すとまた違って見えます。
パリに持っていくのにおすすめのエッセイはありますか?
『移動祝祭日』(アーネスト・ヘミングウェイ/新潮文庫)がいちばんのおすすめです。カフェ、書店、セーヌ川など場所ごとに章が分かれているため、その日に訪れる場所の章だけを読むという使い方ができます。作中に登場する場所の多くが現在も残っており、本を持って訪ねると100年前の風景と重なります。文章が短く、海外文学が苦手な方でも読みやすい1冊です。
紹介されている本は、書いた人が全部読んでいるのですか?
はい。この記事で紹介している22冊は、すべて書店主が最後まで読了した本です。チャプターズでは、お客様にお届けする本はすべて実際に読み切ったものだけ、という方針を取っており、ブログの選書も同じ基準で行っています。あらすじや他の書評をもとに並べた記事ではありません。タイトルに国名が入っていなくても現地の空気が濃く残っている作品は、読まなければ見つけられないためです。
電子書籍と紙の本、旅行にはどちらが向いていますか?
荷物を減らしたいなら電子書籍、旅の記憶を残したいなら紙の本です。長期滞在や複数国をまわる旅では電子書籍が圧倒的に便利ですが、物語の舞台に実際に立つときは紙の本をおすすめします。その場所でその本を開いた写真は、後から見返したときの価値がまったく違いますし、現地のチケットやレシートを挟んで持ち帰ることもできます。
まとめ|本を1冊入れるだけで、旅は変わる
ヨーロッパ旅行に持っていく本を22冊、国別に紹介しました。
スーツケースに本を1冊入れるかどうか。たったそれだけのことですが、読んだ本と、歩いた街が重なった瞬間の記憶は、ずっと残ります。写真より長持ちすることさえあります。
今回の22冊は、どれも移動中に読めて、現地で効く本ばかりです。行き先が決まっている方は、その国の章だけ見ていただければ大丈夫です。全部読もうとしなくて、まったくかまいません。持って行きたい本が1冊でも見つかっていたら、それがいちばん嬉しいです。
アジア・アメリカ大陸へ行かれる方は、こちらもどうぞ。
よい旅を。そして、よい読書を。✈️📚
「恐れずに。しかし、気をつけて。」
沢木耕太郎『深夜特急 第三便』あとがきより次の旅に持っていく1冊、チャプターズにお任せください。楽しくて読みやすい本が毎月届きます。夏は毎年「旅」をテーマに選書しています。
あなたのためだけに本を選ぶ、パーソナル選書
東京・市ヶ谷の実店舗「チャイと選書」では、店頭にてパーソナル選書を展開中。10分間のヒアリングを通じて、あなたにぴったりの本を5作品ご紹介します。選書後は最大1時間、お店にも滞在いただけます。旅先に合わせた選書も得意ですので、お選びできない地域もありますが、ぜひご相談ください。
📍 東京都新宿区市谷田町2-20(JR市ヶ谷駅から徒歩7分)
パーソナル選書を予約するInstagram @chai_book_chapters

