こんにちは。
今回は各所から「大好きな本だからぜひ読んでみて〜!」とお勧めをいただいた、加藤シゲアキさんの『オルタネート』をご紹介です。
紹介する人
オンライン書店を運営する小さな会社の代表。小説・エッセイをメインに月数十冊に目を通す。愛読書は「アルケミスト」と「その手を握りたい」。旅先での読書が人生のご褒美。
尚こちらの記事は、以下動画でも視聴いただくことができます。
動画・ブログ、お好きなスタイルで本の紹介をお楽しみ頂けたら嬉しいです。
あらすじ
近未来の日本を舞台にした高校生専用のSNS「オルタネート」を中心に展開する青春小説。
物語は、私立高校の生徒たち3人、料理部のイルル、恋愛を探し求めるナズ、そしてSNSを使いたくても使えない事情を持つナオシを軸に進みます。
SNSが当たり前の世界で、彼らが友情や恋愛、部活動を通じて成長していく様子が描かれています。オルタネートを利用することで生じる葛藤や新しい人間関係の構築が、リアルな高校生活として描かれています。
総評
個人的な好みだと… ★★☆☆☆ でした!偉そうにすみません。
全体的に青春ものが30代女性には終始眩しく、精神的な(笑)制服を纏うのにどうにも時間がかかってしまったというのが理由です。
ただ、ラストの料理大会での疾走感は素晴らしく、学生時代に出会っていたら絶対にハマっていたであろう作品。詳しくみていきましょう。
感想1:現代の高校生活のリアルな描写
この小説は、現代の高校生の生活をリアルに描きつつ、設定としては今よりもう少し近未来20XX年のお話です。SNSが主流となった世界での青春を描くことで、読者は自分の高校時代を振り返りながら共感することができます。
SNSの存在が人間関係や日常生活にどのように影響を与えるかが巧みに描かれており、今の高校生にとっては非常に身近なテーマとして受け入れられるでしょう。
感想2:多様性の描き方が秀逸
作中で登場するキャラクターたちは、それぞれが異なるバックグラウンドや性格を持ち、多様な人間関係が描かれています。
特に、同性愛やバイセクシュアルといったセクシュアリティの多様性が自然に描かれている点が素晴らしかったです。こうした描写は、読者に対して多様性の重要性を認識させるとともに、現代社会の多様性を反映したリアリティを感じさせます。
登場人物の名前も個性的で、未来感を感じました。
感想3:料理部の描写と競技の臨場感
料理部のイルルが全国大会を目指すシーンは、非常に臨場感があります。料理の描写が細かく、まるで実際に料理をしているかのような気分に。
特に、ラストの料理の全国大会「ワンポーション」のシーンは緊張感と興奮が伝わってきて、一気に読み進めてしまいました。
料理に対する情熱とその競技の厳しさがリアルに描かれており、読者を引き込む力があります。
この本が好きだった方には、こちらもおすすめ!
『しき』/ 町屋良平 著(河出文庫)
男子高校生が、偶然見かけた動画に触発されて、深夜の公園でダンスの自主練を始める。自分自身と向き合い成長する主人公の心情を繊細に描いた、体感的で魅力的な小説。
『青い春を数えて』 / 武田綾乃 著(集英社文庫)
同じく高校生活を舞台にした青春小説でありながら、異なる視点やテーマを楽しむことができるでしょう。部活に燃えない帰宅部の主人公や、少し温度の低い冷めた高校生が多く登場する点もリアルで共感性が高い作品。
『島はぼくらと』 / 辻村深月 著(講談社文庫)
瀬戸内海の架空の島・冴島を舞台に、島の高校生たちの最後の季節を描いた青春小説。自然豊かな島の風景と共に、地方のリアルな課題に触れつつ、主人公たちが島の問題や自身の未来と向き合いながら成長する姿が描かれています。
『桐島、部活やめるってよ』 / 朝井リョウ 著(集英社文庫)
突然部活をやめた同級生により、クラスメイトたちの関係性が揺らぐ様子を描く。高校生活のリアルな一面が感じられる。
『ねえ、委員長』 / 市川拓司 著(幻冬舎文庫)
奥手でシャイな彼と真面目で優等生な委員長の彼女が織りなす「初恋」をテーマにした短編小説集。特殊な家庭環境に育った彼と、純粋さの中に異質さを持つ彼女の関係が描かれています。
初恋の心の移ろいが丁寧に描かれており、異質な環境に育ちながらも純粋さを失わない彼らの姿に心打たれます。
まとめ
いかがでしたか?
大人になるとなかなか青春小説に手が伸びなかったりするものですが。久しぶりに手に取ることで、学生時代の感情を追体験できたり、フレッシュな気持ちになれるかも!
次読む本の参考になれば嬉しいです。