ellisの「気難しいと感じる社会問題をフィクションで楽しむ小説」本棚

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こんにちは。
今回は、砂糖とミルク必須のコーヒーをお供に読書を楽しむ私が、フィクションだから伝わる現代社会の光と影な本を選書しました。
次に読む本のご参考に、そして私自身を知るきっかけにもなれば嬉しいです。

ellisさんの自己紹介

私は広島に住む30代の男性です。
仕事は過疎地の小さな病院で相談員しており、日々みなさんからお悩みを聞いております。
その相談がズバッと解決する事はないので、日々悶々としながらも、たまに「ありがとう」との言葉を頂き、よかったなぁと感じています。

読書は幼いときからしていました。ただファンタジーは相性が合わず、国語の小説は苦手でした。車の図鑑や絵本をたくさん読んでいました。高校・大学時代から図書館でミステリー小説を借りております。トリックが明かされるとき、真実が分かったとき、事件が解決したときにスカッと爽快な気分になることが止められません。
ミステリー作家はあげるとキリがないですが、宮部みゆきさん、東野圭吾さん、松本清張さんなど、映画化された作品の原作を読んでいます。それから、綿矢りささん、海堂尊さん、南杏子さんは何冊か続けて読みあさりました。

「真実はいつも一つ」と決めゼリフの少年探偵の映画は欠かさずみております。ミニシアターで上映される作品を見るのも好きです。まだ多くの人に見られてない作品を独り占めした感があります。ときおり物思いに更けて、それを整理するために雑感を綴ります。そのネタは多くの書籍からもらっています。

名刺代わりの本

・誰か / 宮部みゆき
・祈りの幕が下りる時 / 東野圭吾
・黒革の手帖 / 松本清張
・手のひらの京 / 綿矢りさ
・チーム・バチスタの栄光/ 海堂尊
・マスカレードホテル / 東野圭吾
・望郷 / 湊かなえ

そんな私(僕)が今回おすすめすしたい本はこちらです。題して…

フィクションだから伝わる現代社会の光と影

まずはこちら。

1冊目:ヴァイタル・サイン/南杏子 著 (小学館文庫)

あらすじ

『サイレント・ブレス』でデビューされた医師が書いた看護師の物語。
31歳の看護師が今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を生きる。そんな中であるサイトの投稿を見つける。その投稿が気になる。誰がその投稿したのかという犯人捜しが本筋ではなく、患者に寄り添うというきれい事だけでは語れない医療現場の実態を、看護師の日常業務を通してリアルに描く。

見どころ

作者は在宅医療の物語が多いかと思います。主演吉永小百合さんの映画「いのちの停車場」はご存じの人も。
コロナ過でエッセンシャルワーカーが注目されました。医療現場ではコンビニ受診や看護師不足など課題が山積しております。皆さんにとって看護師はどんな存在ですか。白衣の天使と言われますが、病院に携わる端くれ者からすると、看護師のあるあるがいくつも描かれています。何があっても医療を提供するために24時間365日働く看護師。時には恋人の約束を置き去りにし、患者のために過重労働している現場です。いつもやさしく患者に接する看護師ですが、それができないぐらい業務に追われる現実がそこにあります。物語を読みながら、そんなことあるの?と疑う人もおられるかも。あるいは、もっと過酷な現場だとツッコミを入れる人もおられるかも。

こんな現場では医療崩壊って本当にあるかもしれない。その一端を感じて、みなさんと分かち合えば医療の未来は明るいかも。

2冊目:平成くん、さようなら/古市憲寿著 (文春文庫)

あらすじ

社会学者・古市憲寿さん、初小説。
平成の終わりに、主人公は彼女に安楽死したいと伝える。彼女はそれに戸惑いながらも、二人はいまの時代を生きていく。主人公の住む東京は、あらゆるサービスが用意され、それを最大限享受し、使いこなした生活が描かれる。
平成の終わりってこんな時代だった感じつつ、死ぬことの意味を問い直していく。

見どころ

29歳の主人公の平成(ひとなり)は、経済的な余裕があり、クールに生きる。安楽死について、調べ、思考する。現実社会では、それを論じる事は、タブーかもしれない。しかし、多様な考えを受入れていくのであれば、避けては通れない話題ではないか。フィクションを通して、家族・友人と話題してみてはどうでしょうか。
仮に日本で安楽死が認められたとき、あなたはどうしますか。生きる意味はどこにあるのか。一見話しにくい内容ではあるが、それを考えることでより豊かな人生になるかもしれない。どうであれ、人間は100%と死ぬのだから。
古文ではないのだが、文中に作者による注釈が至る所にある。作者は社会学者であり、どう語彙を解釈しているのか、そんな一面も知れる一冊。

3冊目:『ハゲタカ5 シンドローム<上 / 下>』/真山仁 著 (講談社文庫)

あらすじ

世界的な企業買収者・鷲津政彦は、原発を建設する民営会社株の買収に失敗。財・政・官がもつれあう権力構造の複雑怪奇さを思い知る。そんな中で原発事故が発生する。鷲津は首都電力を買収できるのか。官邸は原発事故の責任をどう処理するのか。
原発プラント輸出に関わる芝野さん、ミカドホテルの貴子さんも巨大な電力企業とつながりがある。今回もこの二人は鷲津を助けてくれるのか。それとも芝野さんは自分の信念を貫き通すのか。
9・11東日本大震災後の世界を描く金融エンタテインメント。

見どころ

真山仁さんによる「ハゲタカ」シリーズ第5弾。シリーズ初期作品はドラマ化、映画化される。ハゲタカとして、腐った日本を買いたたくと企業買収するサムライ・キャピタルの鷲津。今回、彼のターゲットは電力会社。この国の電力は誰が支配し、国民に供給しているのか。鷲津の真の狙いは何か。これまでのシリーズで登場した芝野健夫はもちろん、お馴染みの人物がしっかり登場します。彼らは敵なのか、それとも味方として鷲津を助けるのか。その辺も各人が腹の内を探る展開にハラハラドキドキ。原発事故の責任を政府・企業はどう考えればよいのか。そこで働く電力会社社員は何を考えていたか。これはフィクションであるが、おそらく現場では同じような場面が展開されたと思わせる作品です。鷲津がいれば、今とは全く違った別の日本社会になっていたかもしれない。巨大電力会社の話ではあるが、私たちの未来が変っていたかもしれないと思わせる作品です。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
誰かと趣味が合えば嬉しいですし、また次読む本の参考になれば幸いです。

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アペロでお会いできた際は、ぜひよろしくお願いします。

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