こんにちは。オンライン書店「Chapters bookstore(チャプターズ)」を運営する書店主の森本萌乃です。
読書会は、いま世界で静かに流行しています。それも「本好きが集まる勉強会」ではなく、クラブやランニングイベントに近い、新しい社交の場として広がっています。
この記事では世界で注目されている読書会7つと、韓国で起きている「テキストヒップ」を、公式サイトとInstagramで確認した数字とあわせて紹介します。最後に、書店主として「なぜ今なのか」も考えてみました。
この記事を書いた人|森本萌乃
1990年生まれ。書店主・選書家、株式会社MISSION ROMANTIC代表。オンライン書店「チャプターズ」と東京・市ヶ谷の「チャイと選書」を運営。複数人で語る読書会、女性限定の黙読会、2人で話すオンライン読書会を企画している。著書に小説『あすは起業日!』(小学館)。趣味は旅先での読書。
※ 掲載情報とフォロワー数は2026年9月時点で各公式サイト・公式Instagramを確認したものです。数字は日々変わりますので、最新の情報は各公式アカウントでご確認ください。
ラグジュアリーブランドがこぞって本に注目している
読書の輪の広がりを大きく感じる要因として、昨今ラグジュアリーブランドがこぞって本に注目し始めていることが挙げられると思います。
ミュウミュウは2025年6月、ミラノ・パリ・北京・香港・大阪の5都市の公園で「Miu Miu Summer Reads」を開催しました。シモーヌ・ド・ボーヴォワール『離れがたき二人』と円地文子『女坂』の2冊を、ブランド特製のブックカバーやしおりとともに無料で配布するという企画です。取り上げられたのが2人とも女性作家であること、そして5都市のうちのひとつが大阪だったことが嬉しいですね。
同じ年の4月には、ミラノで「Miu Miu Literary Club」という文学イベントも開かれています。テーマはやはりシモーヌ・ド・ボーヴォワール。ブランドが本を単発の企画ではなく、継続的なプロジェクトとして扱っていることがわかります。
Miu Miu Literary Club(Instagram)
Miu Miu Literary Club(2025年4月・ミラノ)/Miu Miu公式Instagramより
コーチは2026年2月、「Explore Your Story」を発表しました。ペンギン・ランダムハウスと組んで、本文が実際に読める極小の本をバッグチャームにしてしまったのです。全12作のなかにはジェイン・オースティン、マヤ・アンジェロウ、セレステ・イングに加えて、宮下奈都『羊と鋼の森』も入っています。
キャンペーンのテーマは「あなたの物語を描こう」。日本版には幾田りらさんが登場しています。
Coach「Explore Your Story」(Instagram)
Spring 2026 キャンペーン「Explore Your Story」/Coach Japan公式Instagramより
※ 出典:Miu Miu Summer Reads 2025(公式サイト)/Coach「Explore Your Story」プレスリリース(2026年2月25日)
本への入口が増えるのは嬉しい変化ですね!
読書会は本当に流行ってる? 数字で見る世界の読書会
「読書会が流行っている」と言われても実感がわきにくいと思うので、まず数字から見てみます。
| コミュニティ | 発祥 | 広がり | |
|---|---|---|---|
| The Offline Club | アムステルダム | 10か国16都市・2万人超 | 66.3万人 |
| Reading Rhythms | ニューヨーク | 20都市以上・5万人超 | 12.7万人 |
| Silent Book Club | サンフランシスコ | 60か国以上・2,000支部超 | 11.6万人 |
| Sunnie Reads | アメリカ | Z世代による・Z世代のための読書会 | 4.6万人 |
| Service95 Book Club | ロンドン | デュア・リパが毎月1冊を選ぶ | 74.2万人 ※ |
| トレバリ | ソウル | 韓国最大級の有料読書会 | 4.9万人 |
| Chapters(チャプターズ) | 東京 | 選書とマッチングを掛け合わせた2人の読書会 | 1.1万人 |
※ Service95は読書会以外の発信も含むメディア全体のアカウントです。
ひとつの読書会コミュニティがInstagramで66万人のフォロワーを持つ。これは数年前には考えられなかったことです。
世界で注目されている読書会7選
スマホを預けて、ただ読む
デジタルデトックス型
The Offline Club
写真はイメージです
ジ・オフラインクラブ
- 発祥
- オランダ・アムステルダム
- 展開
- 10か国16都市
- 規模
- 500回以上開催・会員2万人超
- IG
- 66.3万フォロワー
「スマホを置いて、リラックスして、同じ気持ちの人とつながる」The Offline Club 公式サイトより(意訳)
The Offline Club Instagram →アムステルダムから始まり、ロンドン・パリ・バルセロナ・ミラノ・ベルリン・ウィーン・リスボン・チューリッヒ・バリ島など10か国16都市に広がりました。
実は私も2025年にパリで参加しました。入口でスマートフォンを預けるところからすでにちょっとワクワク。参加者がそれぞれ持ち寄った本を黙々と読んだあと、近くの人たちといま読んでいた本についておしゃべりをします。フランス語が話せない私は言葉の壁にかなりドキドキしていましたが、皆さん自然に英語へ切り替えてくれました◎
読書会というより「スマホを見ない時間を、みんなで過ごす会」です。だからこそ本を読まない人も来られる。この間口の広さが、フォロワー66万人という数字につながっているのだと思います。
読書会じゃない、読書パーティーだ
リーディングパーティー型
Reading Rhythms
写真はイメージです
リーディングリズムス
- 発祥
- アメリカ・ニューヨーク
- 展開
- 世界20都市以上
- 規模
- 5万人超のコミュニティ
- IG
- 12.7万フォロワー
Not a book club. A reading party.Reading Rhythms 公式サイトより
Reading Rhythms Instagram →会場にはDJがかけるような音楽が流れ、参加者は思い思いの本を読みます。課題本はありません。「好きな本を持ってきて、あなたの人を見つけて」がコンセプトです。
ニューヨークから始まり、ロサンゼルス・ロンドン・シカゴ・トロントなど世界20都市以上へ。月額9ドルからの「パスポート」会員になると各地のイベントに参加できる仕組みも持っています。ニューヨーク・タイムズやローリング・ストーンなど、主要メディアにも取り上げられています。
一言も話さなくていい、世界最大の黙読会
黙読型
Silent Book Club
写真はイメージです
サイレントブッククラブ
- 発祥
- アメリカ・サンフランシスコ(2012年)
- 展開
- 60か国以上・2,000支部超
- 形式
- 1時間ほど黙って読む・交流は任意
- IG
- 11.6万フォロワー
2012年にサンフランシスコで、Guinevere de la MareさんとLaura Gluhanichさんという2人の友人同士が始めた集まりです。2015年に正式に立ち上がり、いまでは60か国以上・2,000を超える支部を持つまでになりました。
やることは1時間ほど黙って本を読むだけ。そのあとの交流は任意です。課題本も、感想の発表も、入会金もありません。誰でもその地域の支部を立ち上げられる仕組みになっていて、それがこの広がりを生みました。
Z世代が、Z世代のために選ぶ
Z世代向け・オンライン
Sunnie Reads
写真はイメージです
サニー・リーズ
- 発祥
- アメリカ(Hello Sunshine)
- 始動
- 2026年
- 形式
- Z世代の読者自身が選書するオンライン読書会
- IG
- 4.6万フォロワー(@sunnie)
リース・ウィザースプーンが立ち上げたメディア「Hello Sunshine」のZ世代部門「Sunnie」が2026年に始めた読書会です。「Z世代による、Z世代のための」を掲げ、選書をZ世代の読者自身が行います。
著者スポットライト、参加者による投票、本にちなんだプレイリストやムードボードまで。本を読む行為のまわりに、SNSで楽しめる要素をまるごと乗せているのが特徴です。スポンサーはコーチ。前の項で触れたブックチャームと同じ流れの上にあります。
また若い世代が参加することを踏まえてか、読んだあとに何を投稿すればいいかが用意されている点が面白いと感じました。読書会のいちばんの壁が「感想を言うこと」だとすれば、その壁をSNSの作法に置き換えた発想はさすがです。
母体のHello Sunshineは、選んだ本を映像化まで手がける会社です。『ビッグ・リトル・ライズ』『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックス』などを世に出し、2021年には9億ドルで売却されました。読書会がそのまま事業の入口になっている例だと思います。
ポップスターが、毎月1冊を選ぶ
メディア発・月1冊
Service95 Book Club
写真はイメージです
サービス95 ブッククラブ
- 主宰
- デュア・リパ(イギリス)
- 始動
- 2023年6月
- 形式
- 毎月1冊・著者インタビューとポッドキャスト
- IG
- 74.2万フォロワー(@service95)
母体の「Service95」は、デュア・リパが2022年に創刊したニュースレターです。名前は彼女の生まれ年1995年と、人の役に立つという意味のof serviceを掛けたもの。そこから派生する形で、2023年6月にブッククラブが始まりました。
第1回はイギリスのヘイ・フェスティバルで、ブッカー賞作家ダグラス・スチュアートを招いた公開インタビュー。以降毎月デュア・リパ本人が1冊を選び、著者インタビュー・プレイリスト・エッセイがセットでついてきます。ポッドキャストにもなっています。
Sunnie Readsもそうですが、影響力のある人が本を選ぶという行為が、いまいちばん強いコンテンツのひとつになっているようです。
韓国の「テキストヒップ」とは? 本を読むことがかっこいい
数字がいちばんはっきり出ているのが韓国です。「テキストヒップ(텍스트힙)」は「テキスト(文章)」+「ヒップ(かっこいい)」を組み合わせた造語で、本を読むこと自体がおしゃれな行為として支持される流れを指します。
韓国の大手オンライン書店Yes24のデータでは、10代と20代の文学書の購入がこう動いています。
| 年 | 10代・20代の文学書購入(前年比) |
|---|---|
| 2024年 | +38.1% |
| 2025年 | +15.3% |
| 2026年 第1四半期 | +13.6% |
3年連続で二桁成長。さらに2025年には、10代が投稿した書評が前年比113.1%増、20代も35%増だったと報じられています。読むだけでなく、読んだことを書いて共有する。そこまで含めてテキストヒップです。
※ 出典:京郷新聞「Young people who do not read books? ‘Text Hip’ has changed that」(2026年4月21日・Yes24の集計にもとづく報道)
この流れを支えているのが読書会です。韓国最大級の有料読書会「トレバリ」は、その代表格といえます。
課題本型・有料会員制
트레바리(トレバリ)
写真はイメージです
- 発祥
- 韓国・ソウル
- 形式
- 課題本を読み、感想文を書いてから参加
- 特徴
- クラブ長がテーマと課題本を設計
- IG
- 4.9万フォロワー
읽고, 쓰고, 대화하고, 친해져요(読んで、書いて、話して、親しくなる)トレバリ 公式サイトより
트레바리 Instagram →トレバリの特徴は感想文を提出しないと参加できないことです。無料でゆるく集まるのではなく、あえてハードルを上げている。「ちゃんと読んで、ちゃんと書いて来た人しかいない」という安心感を、お金を払って買う仕組みです。
ソウルの街は、歩いているだけでおしゃれな書店にたくさん遭遇します。独立系書店が増えている様子は、私自身も肌で感じることができました。
そしてもうひとつ、この流れを後押ししているものがあります。韓国では書籍に付加価値税がかかりません。付加価値税法第26条第1項第8号で、図書・新聞・雑誌・官報などが免税品目として定められています(広告は除く)。韓国の標準税率は10%なので、その分そのまま本の値段が軽くなっているということです。
日本の書籍には10%の消費税がかかります。軽減税率8%の対象は飲食料品と定期購読の新聞だけで、書籍と雑誌は含まれていません。売り手も読み手も嬉しい非課税、日本でも取り入れてほしいところです……。
※ 出典:韓国・付加価値税法 第26条(国家法令情報センター)
なぜ今、世界で読書会なのか
ここまで調べてきて、理由は4つあると感じました。
- 本を読む時間が、人とつながる時間を育てる
感想を誰かと共有する楽しさ。映像化されていない自分だけのイマジネーションを味わえる読書ならではだと感じます。 - 読書している姿がかっこいい
スマホ依存の反動でしょうか。読書をする佇まいそのものに価値が見出され始めているように感じます。 - 深みのあるSNS投稿で、インテレクチュアルな自分になれる
消費のスピードが加速するなかで、本の投稿ひとつが「それだけ豊かな時間を過ごした証明」のように機能しています。内面の成熟を示すプロップとして、本が一役買っているのだと思います。 - ひとりで行っても浮かない
本を持っていれば、話さない時間が気まずくなりません。
特に最後のひとつが大きいと思っています。初対面の場でいちばんつらいのは、会話が途切れた瞬間です。読書会には「黙っていていい時間」が最初から設計に入っている。これは他の集まりにはない、かなり強い発明だと思います。
日本の読書会はどうなっている?
では日本はどうでしょうか。実は日本にも、初心者に配慮した読書会がたくさんあります。全国17件を公式サイトで一件ずつ確認して、形式・参加費・人数まで実名でまとめた記事を書きました。
結論から言うと、日本の読書会もかなり参加しやすくなっています。集まって黙々と読むだけの会、本を読まずに参加できる会、女性限定の会、無料の図書館読書会まで。海外の流れと同じことが、たしかに起きています。
世界でも珍しい「選書 × マッチング」という形
ここまで紹介してきた読書会は、どれも「集まる」ことが前提でした。最後に、少し違う形を紹介させてください。私たちが運営しているチャプターズです。
チャプターズはオンライン書店でありながら、本を通じた出会いの場でもあります。会員に本を選書し、同じ本を読んだ人同士をつなぐ。そのうえで2人がオンラインで20分間だけ話す「アペロ」という仕組みを持っています。最小人数2人の読書会です。
選書+1対1オンライン
Chapters(チャプターズ)
写真はイメージです
ちゃぷたーず
- 拠点
- 日本・東京
- 形式
- 選書した本で2人が20分だけ話す
- 規模
- 毎月およそ300〜400件のアペロ
- 特徴
- 日本で特許取得(第7048115号)
この「選書」と「マッチング」を掛け合わせた仕組みについて、チャプターズは日本で特許を取得しています。
特許第7048115号「情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法」
特許権者:株式会社MISSION ROMANTIC/発明者:森本萌乃
出願:2020年11月24日/登録:2022年3月28日
私たちが調べた限り、選書サービスとマッチングを組み合わせたサービスは世界を見渡してもほとんど例がありません。読書会が「集まる場」として世界に広がるなか、「2人でいい」「オンラインでいい」という方向に振り切ったのがチャプターズです。
本を通じた出会いは、日本だとジブリ映画『耳をすませば』が有名ですが、海外のラブコメ映画でも定番の出会いのシーンですよね。私はメグ・ライアン主演の映画『ユー・ガット・メール』も大好きで、『高慢と偏見』を目印に、メールで繋がった二人が次第に惹かれ合うストーリーにも憧れがあります。
本を通じて出会う。これは世界共通のロマンチックな体験だと思うので、もっともっと広く知ってもらえるよう頑張らなくてはと感じます。
海外の読書会についてよくある質問
海外の読書会は英語が話せないと参加できませんか?
会によります。黙読型のThe Offline ClubやSilent Book Clubは、読んでいる時間がほとんどなので語学の負担は小さめです。私がパリで参加したときも、フランス語が話せないと伝えたら皆さん英語に切り替えてくれました。交流の時間があるかどうかを、申し込み前に確認しておくと安心です。
テキストヒップとは何ですか?
韓国で生まれた言葉で、「テキスト(文章)」と「ヒップ(かっこいい)」を組み合わせた造語です。本を読むこと、読んだ記録を残して共有することが、おしゃれな行為として支持される流れを指します。韓国のオンライン書店Yes24では、10代・20代の文学書購入が3年連続で二桁成長しています。
日本にも海外の読書会の支部はありますか?
あります。Silent Book Clubは誰でも支部を立ち上げられる仕組みで、日本各地の書店やカフェが独立して開いています。岡山市では市内8会場が並行で動いており、岡山市の公式サイトでも紹介されています。
読書会は本当に流行っているのですか?
数字で見るかぎり広がっています。The Offline ClubはInstagramで66万人、Reading Rhythmsは12.7万人、Silent Book Clubは11.6万人のフォロワーを持ちます(2026年9月時点)。Silent Book Clubは60か国以上・2,000を超える支部にまで広がりました。
日本で参加できる読書会を探すには?
全国17件の読書会を、形式・参加費・人数まで公式サイトで確認して実名でまとめた記事があります。黙読会、女性限定の会、本を読まずに参加できる会、無料の図書館読書会まで紹介しています。
紹介した読書会・情報源
※ フォロワー数は2026年9月時点の公式Instagramの表示によります。