ページ数：384ページ
読了しやすさ：★★★★

引きこもりのYouTuberと、詐欺師の男が手を結ぶ？！
ひょんなことから協力関係を結んだ全くタイプの違う2人が、人助けをしていく奇想天外な物語。

すっかり職業として認知されるようになった「YouTuber」を、注目の若手作家が描きます。テンポの良い痛快エンタメ小説。

＜スタッフおすすめポイント＞
今年の春を、悶々とした気持ちで過ごす方も、少なからずいるはずです。
なぜなら春は、大学受験に失敗して浪人が決まったり、職場の配属が希望通りにいかなかったり、楽しいスタートばかりとはいかないからです（推薦文を書いている私も、浪人経験がありその年の春は憂鬱でした）。

そんな少し憂鬱な気分の方は、本書がきっと寄り添ってくれるでしょう。

主人公は、大学受験を諦め自宅に引きこもる毎日。
YouTuberとして悪徳業者の罪を晒すことで、生きる力を徐々に取り戻していきます。
誰でも発信のできる時代、自分にとっての「正義」が他者にとって正義ではないことを知った主人公は...

暴力的な展開に目を細めながらも、コメディ映画のような展開にフフッと笑ってしまう場面もあります。現代社会の闇を軽やかに書き上げるのが特徴の注目の作家さんですが、本書も同じく考えさせられる一冊。

この春、逆境から新しいことに挑戦している方に、是非読んで頂きたいです。

ページ数：368ページ
読了しやすさ：★★★★

「あなたは一流のダメ人間です」

そう言われて与えられた役職は、大手一流広告代理店の代表「被」取締役。
仕事内容は遅刻を必ず週3回以上、定時退社、いじめられっこを買って出て、全社員の軽蔑と嘲笑の的となること。
組織に自分よりも下の人間がいることで、精神的鬱憤のはけ口を作り、社員のガス抜きをさせることが目的。

何をやってもダメな主人公は、果たして代表「被」取締役としての役割を果たし会社に貢献できるのか？！

＜スタッフおすすめポイント＞
4月ということで、新入社員として社会に出たり、環境が変わる方も多いのではないでしょうか。

この本に出てくる主人公は、周りの人が当たり前に出来るはずのことが自分には出来ず、社会にも自分に対しても飽き飽きしています。

ただ、周りの人のように上手くできないからこそ、出来ない人の気持ちが分かったり、新人だからこそ長く勤続している方には気づけない視点を持っているのではないでしょうか。

「一流のダメ人間」として入社する主人公の奮闘ぶりに、自分への期待のハードルもぐっと下がり、新たな環境で挑戦したくなる一冊です。

ページ数：321ページ
読了しやすさ：★★★★

国民的人気コンビの、青春時代の素顔とは？

安アパートで10年間、布団を並べて眠った。
二人で舞台に出たら観客も二人だった。

恋人も嫉妬する！？長〜い蜜月！笑いを心底愛する二人の、バイタリティの原点。


＜スタッフおすすめポイント＞
今なお、お茶の間をわかし続ける大人気のお笑い名コンビ。
まさかお笑い芸人さんのエッセイで、冒頭からじわりと涙の気配を感じるとは。

M1決勝戦の舞台裏から始まるのですが、居た堪れない緊張感と生々しい闘志がリアルに描かれ、その臨場感に思わず固唾を吞んで読み進めました。

あのコンビ、こんなに素晴らしい文章も書けてしまうのか…しかも、2人とも…引き込ませる文章力に脱帽です。

失恋、ギャンブル、自殺未遂。
どん底の底まで行った二人が、互いを信頼し何度も這い上がった苦労があってこその、繊細さと力強さを兼ね備えた文章。

彼らから受け取る大きな愛とエネルギーで、4月を元気いっぱいに始めましょう。

ページ数：272ページ
読了しやすさ：★★★

職業不安定、母子家庭、未婚の40歳男性。
母を失った喪失感をきっかけに、そろそろ本当の自分の人生を起動したいけれど。

幸福って、なんだ?
幸せとか、愛とか、希望とか。
大切なことはどうして曖昧なものばかりなんだ。
答えろ、誰かーーー

様々な世代のロスに切り込み、人生の再起動について考えた先に力をもらえる一冊。

＜スタッフおすすめポイント＞
新しい道に進むとき、大なり小なり不安を抱くものです。

この本は、生まれた時代・家庭環境・セクシュアリティなど、自分と異なる境遇の人々と主人公が出会う中で、自分の内面と対峙していく物語です。
年配の友人から教わる「老い」のリアル、優秀な中学生から垣間見える人には言えない痛み、主人公を通じて、誰もが必死に生きていることを実感することで、不恰好でも自分らしく生きる道を探し続けることの素晴らしさを人知れず教えてくれることでしょう。

動けば、変わる。
後悔しない自分の人生を生きるために、難しい課題もまずは目を背けず知ることから始めたい。

今うまくいかないことがあったり、何かに立ち止まってしまっている方々の背中を、そっと押してくれますように。