Chapter 1
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2021
年
5
月
今月の選書テーマ
すごい女
“世の中の「ほんとう」がわかります”
(週刊文春ウェブサイトより)
文春砲のイメージが先行しがちですが、
文春は、文庫もすごいんです。
少々毒を帯びた選書テーマですが、
物語の力で5月病の鬱屈とした気持ちを
吹き飛ばすんだという思いを込めて
それぞれ選書しました。
人間関係で迷いが出やすいこの季節に、
フィクションの力を。
三者三様の"すごい女"、
ページを開き会いに来てください。
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本のイントロと選書ポイント
復讐に燃える女
読了しやすさ:★★★★
すごい女度(=過激度):★★★
ページ数:397ページ(長編)
今月の4作の中で、唯一男性視点から描かれる「すごい女」の物語。田舎の集落に暮らす高校生の主人公・広海が、久方ぶりに故郷に戻ってきた年上の女性に魅了され、恋に落ち、翻弄される青春ストーリー、なのですが。女性の帰省理由は復讐です。
夏休み、幼馴染、三角関係、都会へのあこがれ、初体験...
一つ一つは爽やかな青春要素を感じさせつつも、物語全体を通してドロッと生ぬるく、雨雲のような灰色の気配が漂います。村社会が持つ光と影、のどちらかというと"影"の部分を、細やかに圧倒的なリアリティで描く本作は、復讐を通じ、そういった村社会独特の閉鎖的コミュニティを追体験することもできます。
サスペンスの要素も多分にあるため、復讐の理由は?恋路の行方は?と、どんどん続きが気になってあっという間に読み進めてしまう作品。
舞台となった田舎の集落は、年に一度の夏の音楽フェスで町おこしに成功したという設定となっており、夏フェスに一度でも行ったことのある方は、より親しみやすい作品になると思います。
読了しやすさ:★★★★
すごい女度(=過激度):★★★
ページ数:397ページ(長編)
今月の4作の中で、唯一男性視点から描かれる「すごい女」の物語。田舎の集落に暮らす高校生の主人公・広海が、久方ぶりに故郷に戻ってきた年上の女性に魅了され、恋に落ち、翻弄される青春ストーリー、なのですが。女性の帰省理由は復讐です。
夏休み、幼馴染、三角関係、都会へのあこがれ、初体験...
一つ一つは爽やかな青春要素を感じさせつつも、物語全体を通してドロッと生ぬるく、雨雲のような灰色の気配が漂います。村社会が持つ光と影、のどちらかというと"影"の部分を、細やかに圧倒的なリアリティで描く本作は、復讐を通じ、そういった村社会独特の閉鎖的コミュニティを追体験することもできます。
サスペンスの要素も多分にあるため、復讐の理由は?恋路の行方は?と、どんどん続きが気になってあっという間に読み進めてしまう作品。
舞台となった田舎の集落は、年に一度の夏の音楽フェスで町おこしに成功したという設定となっており、夏フェスに一度でも行ったことのある方は、より親しみやすい作品になると思います。
恋愛観が屑の女
読了しやすさ:★★★
すごい女度(=過激度):★
ページ数:317ページ(長編)
過激さは若干控えめ、ですが、共感性や「あるある度」では今回の4作品中ピカイチの本作。
「私は私を持て余している」。
満たされなさを常に抱えながら、意志を持たずのらりくらりと低体温で生活する、イラストレーターの主人公。いわゆる恋愛にだらしのないタイプで、同棲中の恋人も、不倫中の医者も、付かず離れずぶつからずのぬるま湯な関係を続けています。
そんな彼女の前に現れしは、大学時代の男友達・ハセオ!彼の登場によって少しずつ主人公の生活に変化が現れるのですが、このハセオという男が粋で。突然の電話、元気のないときに連れて行ってくれる焼肉、ハセオもまた人間性に多少の難ありですが、こんな異性の友人がいることを心底羨ましく感じます。
クリエーティブにある「屑」という表現は、村山由佳さんが寄せた解説から拝借しました。不器用な登場人物は皆、自分のダメさや満たされなさに悩みつつ、それが絶妙な隙や魅力になってしまうから不思議。ありふれた生活の中にある感情の機微や違和感を丁寧に描く、今をときめく女性作家の出世作としても有名な一作です。
読了しやすさ:★★★
すごい女度(=過激度):★
ページ数:317ページ(長編)
過激さは若干控えめ、ですが、共感性や「あるある度」では今回の4作品中ピカイチの本作。
「私は私を持て余している」。
満たされなさを常に抱えながら、意志を持たずのらりくらりと低体温で生活する、イラストレーターの主人公。いわゆる恋愛にだらしのないタイプで、同棲中の恋人も、不倫中の医者も、付かず離れずぶつからずのぬるま湯な関係を続けています。
そんな彼女の前に現れしは、大学時代の男友達・ハセオ!彼の登場によって少しずつ主人公の生活に変化が現れるのですが、このハセオという男が粋で。突然の電話、元気のないときに連れて行ってくれる焼肉、ハセオもまた人間性に多少の難ありですが、こんな異性の友人がいることを心底羨ましく感じます。
クリエーティブにある「屑」という表現は、村山由佳さんが寄せた解説から拝借しました。不器用な登場人物は皆、自分のダメさや満たされなさに悩みつつ、それが絶妙な隙や魅力になってしまうから不思議。ありふれた生活の中にある感情の機微や違和感を丁寧に描く、今をときめく女性作家の出世作としても有名な一作です。
承認欲求に狂う女
読了しやすさ:★★★★
すごい女度(=過激度):★★★★★
ページ数:403ページ(長編)
「女って人間関係面倒くさそう」、一度でも言ったこと・言われたことのある方へおくりたいのがこの作品。
事実はさておきこれを読むと紛れもなく思うからです。女って、本当に面倒くさい。
主人公は、容姿端麗のエリートOL栄利子と、主婦ブロガーの翔子。二人の共通点は友人が一人もいないことです。たった一度きり、ひょんなことから二人が夜のファミレスでお茶したことをきっかけに、二人の生活は少しずつ狂いはじめます。登場人物たちの承認欲求や面倒くさい自我は、完全に常軌を逸しているのに、喜劇として割り切れない。生々しい感情を超デフォルメしたこの狂気こそが、作品の一番の面白さだと思います。
あまりにも強烈な本作は過去に直木賞候補にも選ばれ、今回の「すごい女」の選書の中心ともなりました。
今年は原作がドラマ化されたことで再び人気も再燃するなど、読む人の心を掴んで離さない、悪魔的中毒性を持つ名作。
個人の感想にもよると思うのですが、読後は少し放心状態でした。そんな時はぜひアペロにご参加を。一人では消化し切れない感情をシェアすることで、この作品をより深く楽しめれば嬉しいです。
読了しやすさ:★★★★
すごい女度(=過激度):★★★★★
ページ数:403ページ(長編)
「女って人間関係面倒くさそう」、一度でも言ったこと・言われたことのある方へおくりたいのがこの作品。
事実はさておきこれを読むと紛れもなく思うからです。女って、本当に面倒くさい。
主人公は、容姿端麗のエリートOL栄利子と、主婦ブロガーの翔子。二人の共通点は友人が一人もいないことです。たった一度きり、ひょんなことから二人が夜のファミレスでお茶したことをきっかけに、二人の生活は少しずつ狂いはじめます。登場人物たちの承認欲求や面倒くさい自我は、完全に常軌を逸しているのに、喜劇として割り切れない。生々しい感情を超デフォルメしたこの狂気こそが、作品の一番の面白さだと思います。
あまりにも強烈な本作は過去に直木賞候補にも選ばれ、今回の「すごい女」の選書の中心ともなりました。
今年は原作がドラマ化されたことで再び人気も再燃するなど、読む人の心を掴んで離さない、悪魔的中毒性を持つ名作。
個人の感想にもよると思うのですが、読後は少し放心状態でした。そんな時はぜひアペロにご参加を。一人では消化し切れない感情をシェアすることで、この作品をより深く楽しめれば嬉しいです。
元カレに依存する女
読了しやすさ:★★★★★
すごい女度(=過激度):★★
ページ数:267ページ(2作収録、中編)
今カノ V.S. 元カノ!今回の4作の中で唯一、すかっと爽快な「すごい女」をご紹介します。
アパレルで働く主人公・樹理恵は、仕事も恋も順調でしたが、ある日、彼氏の家に職を失った元カノが転がり込むという異常事態が発生します。設定には少々無理があると感じつつ、ギリギリあり得そうなのが恐ろしいところ。とにかく、この元カノが「すごい」です。元カノのことを、最初は憐れみ理解しようと努める主人公ですが徐々にボルテージは上がり...やばい元カノのいるアパートへ、主人公と一緒に乗り込みましょう!
アパレルで働く主人公を象徴するように、作品全体にはファッションの描写が多く登場します。その細やかさやさりげない表現から、2001年に芥川賞を最年少で受賞した実力派女性作家さんの特徴が垣間見え、ファッションが好きな方はぜひこの作品を選んでいただきたいです。元気を出したい方も!
本作と合わせて、他1編を収録した中編小説。どちらも小一時間で楽しめる小説なので、忙しくて読書の時間をなかなか取れない方にもおすすめです。
読了しやすさ:★★★★★
すごい女度(=過激度):★★
ページ数:267ページ(2作収録、中編)
今カノ V.S. 元カノ!今回の4作の中で唯一、すかっと爽快な「すごい女」をご紹介します。
アパレルで働く主人公・樹理恵は、仕事も恋も順調でしたが、ある日、彼氏の家に職を失った元カノが転がり込むという異常事態が発生します。設定には少々無理があると感じつつ、ギリギリあり得そうなのが恐ろしいところ。とにかく、この元カノが「すごい」です。元カノのことを、最初は憐れみ理解しようと努める主人公ですが徐々にボルテージは上がり...やばい元カノのいるアパートへ、主人公と一緒に乗り込みましょう!
アパレルで働く主人公を象徴するように、作品全体にはファッションの描写が多く登場します。その細やかさやさりげない表現から、2001年に芥川賞を最年少で受賞した実力派女性作家さんの特徴が垣間見え、ファッションが好きな方はぜひこの作品を選んでいただきたいです。元気を出したい方も!
本作と合わせて、他1編を収録した中編小説。どちらも小一時間で楽しめる小説なので、忙しくて読書の時間をなかなか取れない方にもおすすめです。